「情報家電はLinuxかトロンにしてくれないか」と訴える経産省

2003/7/19

 「経済産業省として情報家電でいいたいのは、技術の共通化、標準化の重要性だ」。ワイヤレスジャパン2003(主催:リックテレコム)で講演した経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課長の福田秀敬氏は、今後普及が本格化すると考えられる情報家電で、日本のベンダが競争力を持つための課題として上記のように述べた。

経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課長の福田秀敬氏

 福田氏によると、マイクロソフトと日本のPCベンダとのある契約は、「共同作業で得られた技術をマイクロソフトが使っても訴えられないが、PCベンダが利用すると訴えられる」という内容。情報家電の開発でも同じような関係になると、「大手ベンダの技術がマイクロソフトのOSに積み重なることになる」といい、国内ベンダの競争力が削がれることになる。そのため福田氏は「いろいろなところで情報家電のOSはLinuxかトロンにしてくれないか」と訴えているという。つまり1社だけが得をするようなOSでなく、「オープンに近いOSを使うようベンダには主張している」というのだ。

 福田氏は情報家電の開発で鍵になるのは、ミドルウェアと考えている。情報家電がPCやネットワークと接続する場合、ミドルウェアに、PCのどの規格を入れるかが、日本ベンダの競争力強化でポイントになるのだ。例えば、1社が独占している技術が情報家電で採用され、デファクトスタンダードとして使われるようになると、関係する技術も1社が独占することになり、PCと同じ構造になりかねない。そのため各ベンダでは、「どこの規格を入れて、どこの規格は外すのかのせめぎ合いがある」という。

 ミドルウェアの開発では工数の増大も問題になっている。代表的なのは携帯電話。工数が膨大になることで、下請けに無理な作業が増えてバグの発生が相次ぎ、ベンダのイメージダウンにつながっているのだ。また「ミドルウェア開発の工数が増えると製品を短サイクルで出すことが難しくなり、競争力が低下する」という問題もある。福田氏は「携帯電話開発で協力しているNECとパナソニック モバイルコミュニケーションズのように、ある程度ミドルウェアを共通化し、ソフト開発の工数を抑える必要がある」と解決策を提案。「技術の標準化はビジネスモデルに大きくかかわる」と重要性を訴えた。

 福田氏は昨年12月の「オープンソースウェイ」で講演し、「政府としてオープンソースを支援したい」と述べるなど、政府内でのオープンソース推進派の1人。情報家電用の組み込みOSをめぐってはLinuxやトロン、マイクロソフトの「Windows CE .NET」などが覇権を争っている。PCはマイクロソフトとインテルに牛耳られているが、情報家電では国内ベンダに主導権を握らせ、国際競争力を付けさせたい、というのが経産省の思惑だ。

(垣内郁栄)

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