立体映像がもたらすインターフェイスの革命

2003/10/1

 三菱電機は見る人の左右の目に対応する映像を交互に表示することで、映像を立体に見せる「スキャンバックライト方式立体LCD」を開発したと発表した。斜めから映像を見た場合の二重像や凹凸反転など、従来の立体LCDの欠点を克服したLCDで、携帯電話やPDAなど小型デバイスのディスプレイに利用できるという。

三菱電機が開発した「スキャンバックライト方式立体LCD」と従来の立体LCDの比較。解像度の違いが分かる(クリックで拡大表示します)

 立体視ができるLCDはすでに一部の携帯電話やパソコンなどに搭載されている。これらのLCDは液晶ディスプレイに右目用と左目用の2種の映像を同時に表示し、立体表示を可能にしている。しかし、1枚のディスプレイに2種の映像を同時に表示しているため、横方向の解像度が半減する、という欠点があった。またディスプレイを斜めから見ると映像が二重になったり、立体の凹凸が反転してしまうなどの問題があった。

 スキャンバックライト方式立体LCDは1枚のディスプレイに対して、右目用の映像と左目用の映像を交代で表示することで立体視を実現する。映像は1秒間に120回切り替わる。高速に切り替わるため、見る人は画面のちらつきなどを感じることがない。また、新たに考案した「両面プリズムシート」を使うことで、左右20度の角度でも映像を立体的に見ることができる。

三菱電機 先端技術総合研究所 TFT-LCD開発プロジェクトグループ デバイス応用グループ グループマネージャー 結城昭正氏

 スキャンバックライト方式立体LCDは立体視以外の使い方もできる。左右20度以上の角度で斜めからLCDを見ると、右目用、左目用のどちらかの平面映像が表示される。つまり見る角度を変えることで、1枚のディスプレイで2種の映像を表示させることができるということになる。三菱電機 先端技術総合研究所 TFT-LCD開発プロジェクトグループ デバイス応用グループ グループマネージャー 結城昭正氏は、「2画面の表示を利用して、見る角度を変えるだけでメニューとアプリケーションの画面を切り替える、などの使い方が可能になる」と述べ、携帯電話などのインターフェイスを変革する技術であることを強調した。

 LCDユニットのサイズは従来のLCDをほぼ同じ。コストや重さ、消費電力も若干増えるだけだという。量産時期や発売時期は未定となっている。

(垣内郁栄)

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