「最も低消費電力」な組み込みLinux向け新コア、テンシリカ

2006/2/21

 テンシリカは2月20日、競合製品と比較して低消費電力の組み込みLinux向けプロセッサ・コア「ダイヤモンド・スタンダード 232L」を発表した。テンシリカは「複雑なコントロール・アプリケーションとミッドレンジの信号処理の両方を実行可能な非常に適用範囲の広いCPUとして利用可能」としている。

米テンシリカのCEO クリス・ローウェン氏

 232Lはテンシリカが同日発表したプロセッサ・コアの新ファミリ「ダイヤモンド・スタンダード・プロセッサ・コア・ファミリ」の1製品。ダイヤモンド・スタンダードは232Lを含めて6製品があり、米テンシリカのCEO クリス・ローウェン(Chris Rowen)氏は「ほかのどのコアベンダよりも幅広いプロセッサ・コアのラインアップだ」と述べた。

 232Lは「Linuxを実行可能なプロセッサとして市場にあるもののうち、最も低消費電力なプロセッサ・コア」(テンシリカ)だという。競合製品のARM926EJ-Sと比較すると商品電力は3分の2。一方、Dhrystone MIPSは300で、ARM926EJ-Sを上回るパフォーマンスを持つ。また、コアの物理サイズもARM926EJ-Sの半分以下で、基盤への組み込みが容易になるいう。

 232LはフルMMU(Memory Management Unit)をサポートし、4wayアソシエイティブの命令とデータキャッシュを備える。またMAC16、MUL16、min/max、サイン拡張、NSA命令などのDSP基本命令セットを含む。

 テンシリカは、「Monta Vista Linux Professional Edition」の232L版をモンタビスタ・ソフトウェアと共同開発した。232Lで、Monta Vista Linuxのリアルタイム機能やマルチスレッド実行、ネットワーキング、グラフィックス機能などのソフトウェア・コンポーネントが利用できるという。

 ローウェン氏は「プロセッサ・コア・ビジネスの成長市場はコンシューマ・エレクトロニクスだ」と述べ、携帯電話やデジタル家電向けチップを開発する企業に対して売り込みを図ることを説明した。プロセッサ/DSPコア市場ではARMが圧倒的な強みを持つ。テンシリカは2006年第4四半期までにコア出荷数でARMに次ぐ2位になることを目指す。

(@IT 垣内郁栄)

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