グローバルネームスペースでファイル管理の世界に踏み込むブロケード

2006/9/13

 米ブロケードコミュニケーションズシステムズは9月11日(米国時間)、同社の製品やサービスについて一挙に20以上の新規投入や機能拡張を発表した。この中で「FAN(File Area Network)製品群」と呼ばれるものが存在感を示している。

 ブロケードはこのところ、ソフトウェアを中心とした、データをファイルレベルで管理する機能の提供に力を入れている。同社はこれらをFAN製品群として、従来のハードウェアをベースとしたブロックアクセス管理を担うSAN構築製品群に並ぶ柱に据え、推進している。今回の発表に先立って米ブロケードのTapestryファイルサービス製品群担当バイスプレジデント兼CTO ラウル・メータ(Rahul Mehta)氏が来日、同社のFAN戦略について説明した。

米ブロケード Tapestryファイルサービス製品群担当バイスプレジデント兼CTO ラウル・メータ氏

 「Officeアプリケーションデータなど、ファイルアクセスの対象となるWindowsデータは、(ブロックアクセスの対象となるデータベースなどに比べ)、今後も目覚しい伸びを示すだろう。しかし、最も管理が面倒なのがこの種のデータだ。データのアクセス手法や管理方法に統一性がなく、災害対策やデータの統合・移行、データのライフサイクル管理など、企業が抱える課題に対応することができない」とメータ氏は話す。

 さまざまなファイルサーバやNASに分散され、必ずしも単一のストレージシステムに統合できないこの種のデータを手なずけるための決め手となるのが、グローバルネームスペースの仕組みだとメータ氏は主張する。

 グローバルネームスペースとは、すべてにまたがる単一の論理的な名前空間のこと。これを使うことで、エンドユーザーや管理者は、ファイルにアクセスする際に、物理的なサーバのディレクトリ名を指定する必要がなくなる。部署名などの論理的な分類によってデータを管理することで、データの物理的な位置に左右されない、一貫したデータ管理ができるようになるという。

 米ブロケードはグローバルネームスペースを、昨年買収した米NuViewの「StorageX」という製品で実現している。ファイルレベルのストレージ仮想化製品は他社にも見られるが、StorageXではそれぞれのファイルサーバやNASにソフトウェアを導入するなどの必要がなく、グローバルネームスペースを管理するサーバを設定し、クライアントPCがファイル共有プロトコルの利用でこのサーバにポイントするようにすれば済む。仕組み上、ファイルサーバやNAS、ストレージシステムに依存しないため、全社的に統一したStorageXでファイルの物理的な存在と論理的な見え方を分離することにより、ユーザーにとってはまったく透過的にデータをバックグラウンドで移行するなどが可能となる。

 米ブロケードではStorageXをファイルサービス製品群における要と位置づけ、遠隔拠点から中央拠点へのファイルアクセス最適化を行う「WAFS」、ファイルへのアクセス権管理と個人向けのパーソナライズを可能にする「MyView」、ファイルのライフサイクル管理を実現する「FLM」、ファイルの移行や復旧を行う「Data On Demand」といったツールを組み合わせて提供していくという。

 今回の発表では、StorageXでデータ移行スピードの高速化などを実現したStorageX 5.8が登場した。また、WAFSの新バージョン3.0では、ファイル共有プロトコルだけでなくhttpやftp、Sharepointなどの高速化を実現。これまでハードウェアとソフトウェアが一体として提供されてきた同製品は、今回より販売パートナーを対象としてソフトウェアのみでも提供を開始し、販売パートナーが自由にハードウェアを組み合わせて販売できるようにした。Data Migration Manager(DMM)では、データ移行がオフライン時のみならず、オンライン時にも実行できるようになった。また、Application Resource Manager(ARM)では、自動的なシステムフェイルオーバなどの機能が追加された。

 ハードウェアでは、同社のSANダイレクタ「Silkworm 48000」用のブレード製品として、48ポート・ファイバチャネル・ブレードと8ポートSCSI/8ポートファイバチャネルブレードが新たに発表された。

(@IT 三木泉)

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ブロケードの発表資料

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