HDD、デジタル家電が足引っ張る

日立中間決算は780億円の赤字、「売価下落が大きかった」

2006/10/31

 日立製作所が10月31日発表した2006年9月中間期の連結決算は最終損益が780億円の赤字だった。ハードディスクドライブ事業、デジタル家電事業の赤字に加えて、同社が製造した原子力発電所のタービンに損傷が発生し、その対策費用を一括計上したことで赤字額が前年同期の109億円から大きく膨らんだ。会見した日立の執行役副社長 三好崇司氏は「売価下落が大きかった」と話した。

hitachi01.jpg 日立製作所の執行役副社長 三好崇司氏

 売上高は前年同期比8%増の4兆7709億円。営業利益は74%減の198億円だった。HDD事業は売上高が13%増加。営業損益は前年同期の244億円の赤字から184億円の赤字に改善した。HDDは依然価格下落が続いていて、日立は垂直磁気記録の2.5インチ製品など新製品への転換を急ぐ。通期では400億円の赤字を予測。2007年度の黒字化を目指す。民生機器では24%の売上増加だったが、DVDレコーダーの不振や薄型テレビの販売投資の増加で344億円の営業赤字だった。

 情報通信システム事業全体では売上高が9%増の1兆1478億円。営業損益はHDD事業の不振が響き40%減の138億円だった。ソフト/サービス事業ではソリューション、アウトソーシング事業が堅調だったが、前年同期の子会社の年金代行返上益計上の影響や、メインフレーム関係のソフトウェアの減少で営業損益は25%の減少だった。

 ハードウェアはディスクアレイサブシステムなどが伸び、売上高は5%の成長。特にUNIXサーバ、メインフレームの事業は21%の増収だった。クライアントPC、PCサーバ事業は28%の減少。HDD事業に加えて通信ネットワーク事業の減益で、ハードウェアの営業損益は140億円の赤字だった。通期では情報通信事業全体で売上高の3%成長を見込む。

 情報通信システム事業ではコンサルタントの増員による提案力強化を目指す。2005年度で1200人の国内外のコンサルタントを、2008年度には3000人に増やす計画。日立製作所のコンサルティング事業部門を日立コンサルティングに統合するなど体制も強化した。NGN(次世代ネットワーク)事業強化に向けたソリューション開発にも力を入れる。RFID事業や内部統制ソリューション事業など成長中の分野についても引き続き投資し、強化する。「BladeSymphony」やルータの次世代製品についても開発投資を継続する。

 通期は全体で売上高が前年同期比3%増の9兆7400億円、営業損益が30%減の1800億円、550億円の最終赤字を見込む。

(@IT 垣内郁栄)

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