[Analysis]

R/3の次がmySAP ERPになった理由

2004/05/25

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 SAPジャパンがERPパッケージ「SAP R/3」の後継製品「mySAP ERP」を7月に出荷開始すると発表した。

 mySAP ERPの最大の特徴はSAPが提唱するサービス指向アーキテクチャ「エンタープライズサービスアーキテクチャ」(ESA)をベースに開発されたことだ。従来のR/3がクライアント/サーバ型のアーキテクチャで業務の効率化に主眼を置いていたことに対して、mySAP ERPはシステム連携基盤「SAP NetWeaver」をベースに据えたことで、非SAPシステムとの連携を強化し、ビジネス環境の変化にシステムが即応できるようにした。

 サービス指向アーキテクチャをベースにしたことの影響は製品名にも現れている。R/3のERP機能は、mySAP ERPで「SAP ERP Central Component5.00」(SAP ECC)という名称が付いている。しかし、「サービス志向のアプリケーションになれば、従来の『ERP』や『R/3』といったソフトウェアの名称に意味はなくなる。そのため『SAP ECC』という名称も一般化するつもりはなく、NetWeaverとシームレスにつながった製品『mySAP ERP』として広めていきたい」(ERPソリューションズ プログラムマネージャー 加藤慶一氏)との発言から分かるとおり、個別製品としての押し出しは重視しないようだ。製品ではなくサービスを提供するのがSAPの考えだ。

 R/3からmySAP ERPへの世代交代で追加される機能はそれほど多くない。ドラスティックなバージョンアップという印象は薄いのではないか。しかし、製品を提供するのではなく、サービスを提供するというSAPの主張は、今後、業務アプリケーション市場だけでなく、企業のIT環境自体を変える流れにつながるかもしれない。

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