[Analysis]

天動説から地動説へ変化するERP

2004/12/07

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 ERPが企業のバックオフィスアプリケーションの主役から徐々に退いている。現在でも、ERPは企業のバックオフィスや基幹業務を支える重要な位置付けにあるアプリケーションだ。しかし以前のような、ERPを中心に業務アプリケーションの統合が行われる「ERP中心の天動説」は後退している。変わりに登場したのは、ERPはEAIの周囲を回る業務アプリケーションの1つである、という地動説だ。

 その象徴がSAP R/3だ。かつてR/3を導入する企業は業務をR/3に合わせ、R/3の独自言語やAPIによって、その周辺にカスタマイズするためのアプリケーションを付加した。R/3は業務システムの中心にある存在であり、業務はその周囲で回転していた。

 しかし、いまやSAP自身が先頭を切ってこの天動説をくつがえし始めた。R/3を、業務アプリケーションを構成する1つの部品として自由にほかのシステムと統合する。統合には、Javaや.NETが利用できる。ビジネスプロセスを中心に、R/3を始めとする業務アプリケーションがその周囲で回転する、地動説の登場である。それを実現するのが同社のNetWeaverプラットフォームであり、SOAなどへの対応だ。

 11月30日から12月2日にかけて行われた「SAP TechEd '04」で同社が最も強く訴えたのは、このオープンシステムへの対応だ。ABAPなどのSAP独自の言語やAPIによる開発から、NetWeaverを用いて、Javaや.NETを使った業務アプリケーションの開発へ移行することを、開発者たちに強く訴えた。

 SAPの変化は、ビジネスプロセスの柔軟な変化に対応し、オープンなプラットフォームの上で効率よく業務アプリケーションを構築するために必要な変化である。課題は開発者だ。これまで独自プラットフォームによる開発を学んできた技術者が、変化にすばやく対応できるだろうか。会場ではこうしたオープン化の流れに戸惑う開発者の声がちらほら聞こえた。

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