アドビ、共通フォーマットで電子政府標準を目指す

2002/4/18

 アドビ システムズのPDFファイル形式「Adobe Acrobat」が、法務省により、電子的に提出する書類のファイル形式として正式に認定された。このところの電子政府の動きに合わせ、にわかにフォーカスをエンタープライズに当てているアドビだが、米アドビ システムズ ePaper ソリューション ビジネスユニット バイスプレジデントのジョー・エシュバック(Joe Eschbach)氏が同社の電子政府に対する取り組みなどについて語った。

 電子政府は世界規模で進行している取り組みだが、エシュバック氏はその市場規模について、「(電子政府は、)米、欧州、日本など全世界の政府が取り組んでおり、その投資総額は年間1500億ドルともいわれている」と語る。住民票の取得手続きがオンライン上で完了するGtoC(Government to Citizen)など、電子政府についてはさまざまな可能性が語られているが、現状はまだまだ。「政府がWebサイトを持って情報を提供している段階。インタラクティブなサービス提供は実現できていない」とエシュバック氏は語る。課題は法制度。業務プロセスをデジタル化する法制度が整備されることが先決との見解を示した。一方、SI事業者などソリューション・プロバイダの課題としては、フォーマットやネットワークの信頼性、セキュリティやプライバシーの確保、アクセシビリティ(障害者などがアクセスできる環境を整備する)などを挙げた。

 そんな中、アドビは技術リーダーシップを取るという目標を掲げ、PCやPDA、携帯電話など異なる端末、異なるプラットフォームでの相互運用性の実現などを図ってきた。現在同社のPDF閲覧のための無償ソフトウェア「Adobe Acrobat Reader」のダウンロード件数は累計で4億。今後もユニバーサルな文書配信技術としてさらに改善を図っていく。また、米国時間4月15日にカナダの電子フォーム・ベンダ、アクセリオの買収が完了、サーバ・サイドの技術を持つアクセリオとの技術融合により、付加価値を付けた製品、ソリューションを誕生させたいという。日本法人の代表取締役 副社長である石井幹氏は、SI事業者などとのパートナーシップなどを今後の重要な戦略に位置付けているとした。

 今回、アドビのAcrobatが認定されたのは、法務省における商業登記規則に基づいて登記所(法務局)に提出する書類(会社関係書類)の電磁的記録方式として。これにより、これまで通りの紙ベースでの提出に、電子文書としてPDF形式での提出が加わることになる。申請者は、紙文書同様、電子文書に代表取締役と書類作成担当者のそれぞれの電子署名を付与しなければならない。これに用いる認証には電子証明書を取得する必要がある(電子証明書は、法務省が運営する電子認証登記所、特定認証業務に指定された日本認証サービスのPKIサービスにより発行される)。

 電子署名及び認証業務に関する法律(通称:電子署名法)がスタートして1年が経過する。電子署名を従来の署名捺印などと同等の権限を持たせるもので、政府が推進する省庁や地方自治体の業務などの電子化を推進する電子政府構想においても重要な法律である。当初の予想ほどは盛り上がっていないが、ここにきて、政府側から特定の手続きにPKIを用いた認証を認める動きが出ており、先日総務省が発表した電子署名や認証業務に関するビジネス市場規模予測によると、2006年度には419.5億円(2001年度は63.4億円)に達する見込みという。

(編集局 末岡洋子)

 

[関連リンク]
アドビ システムズの発表資料(法務省、商業登記規則基づき登記所に提出する書類にAdobe PDFを認定)
アドビ システムズの発表資料(アクセリオ買収完了)
総務省の発表資料(電子認証ビジネス市場規模調査の結果)

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