三共の大規模プロジェクト、EMCを選んだ理由は

2003/10/11

三共の業務改革推進部 システムサポートグループ 係長 櫻井勝巳氏

 「実績があり、実運用面での検証をしているのはEMCだけだった」。製薬大手の三共は今年4月、基幹業務システムを刷新し、SAP R/3を導入した。60台のIAサーバを使い、6500人の社員が利用する巨大システム。全社の基幹業務システムをすべて刷新する“ビッグバン導入”となった。ストレージにはEMCのSymmetrixを採用し、SANを構築した。三共の業務改革推進部 システムサポートグループ 係長 櫻井勝巳氏はストレージにEMCを選んだ理由について、このように述べた。

 基幹業務の刷新ではSAP R/3でサプライチェーンの6モジュール、会計は5モジュール、人事で5モジュールを導入した。また全国の支店や工場に点在していた11の事務センターを1カ所に集約した。データベースサーバとして日本ユニシスの「ES7000」を採用、アプリケーションサーバとしてデルコンピュータの「PowerEdge 6450」を9台、R/3の需要計画モジュール用にデルの「PowerEdge 8450」を使った。ほかにバックアップやシステム管理用にIAサーバを利用。サーバの総数は60台以上になる。OSにはマイクロソフトの「Windows 2000 Datacenter Server」、データベースにはマイクロソフトの「SQL Sever 2000」を採用した。基幹業務システムを刷新することで年間200億円のコスト削減が期待できるという。

 「万一、トラブルが起きれば会社がつぶれる可能性がある」(櫻井氏)として慎重に選定したストレージにはEMCのSymmetrixを採用。3台のSymmetrixでSANを構築した。櫻井氏はEMCを選んだ理由を2つ挙げた。1つはTimeFinderと呼ぶ機能で、システムを止めることなくBCV(Business Continuance Volume)のミラーボリュームを切り離して、オンライン中にバックアップを取れること。櫻井氏によると、データをリカバリする場合、従来はテープから8〜9時間かかっていたという。TimeFinderを使うことでリカバリ時間は10〜30分程度に短縮され、「ディザスタリカバリの視点からも高い品質を維持できるようになった」(櫻井氏)という。

EMCジャパンのエンタープライズ営業本部 流通サービス営業部 シニア・アカウント・マネージャー 加畑弘文氏

 EMCを選んだもう1つの理由は、上述のような実運用を想定した検証実験をEMCが行っていたことだ。EMCは同社のストレージと各ベンダの主要サーバを実際に接続し、デモンストレーションを行うことができるジャパン・ソリューションズ・センター(JSC)を東京・西新宿に開設している。櫻井氏はJSCで実際にSymmetrixと各サーバとの接続を検証した。検証の結果、「他社のストレージも検討したが、カタログ上だけでなく、オンライン中のバックアップなどを実運用で検証しているのはEMCだけだった」と評価。櫻井氏は「じかに見たことで納得した選定ができた」と述べた。

 EMCはどのような点をアピールしたのか。EMCジャパンのエンタープライズ営業本部 流通サービス営業部 シニア・アカウント・マネージャー 加畑弘文氏は、「カットオーバー後はシステムを止められない。そのため信頼性をどうするかを第1に考えた」と述べた。「障害時でも被害を最小限にして再スタートできることを提案した」という。また、検証の結果を三共側に対して完全に公開し、システム構築のための方法論をホワイトペーパーにまとめて提出した。大規模プロジェクトでの経験が豊富なエンジニアを集めて、三共側やほかのベンダのエンジニアとの距離を縮めることに注力した。

 今回のように多くのベンダが参加する大規模プロジェクトでは、エンジニア間で十分な意思疎通が図られることが重要。プロジェクトへの参加者は350人以上になるが、週に1度は進ちょくを確認する会議を開催。プロジェクトごとに遅れがないかをチェックできるようにした。プロジェクトは設計フェーズを経て、2002年4月から開発フェーズを開始。2003年1月からトレーニングなどを実施し、2003年4月にSAP R/3が稼働した。櫻井氏は「分権的に作業をしながら、情報を集中的に見られるようにしたことがプロジェクト成功要因の1つ」と述べた。

(垣内郁栄)

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三共
EMCジャパンの発表資料

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