独自仕様はコンプライアンスに良くない、NetApp

2004/12/11

 日本ネットワーク・アプライアンス(NetApp)は12月10日、米国金融機関におけるIT動向に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、米ネットワーク・アプライアンスのチーフ・テクニカル・アーキテクト ヴァル・バーコヴィッチ(Val Bercovici)氏が、NYを中心とした米国金融機関におけるコンプライアンスへの対応状況などを説明した。

米ネットワーク・アプライアンス チーフ・テクニカル・アーキテクト
ヴァル・バーコヴィッチ氏

 バーコヴィッチ氏はまず、米国のトレンドとして金融機関を中心に同社のストレージ製品の利用が急増していると説明。また、「ストレージ業界はここ2〜3年で技術からビジネスインパクトに変換してきている」(同氏)と述べた。例えば米ヤフーでは、この6年間でストレージが50Gbytesから6P(6000T)bytesまで増加し、ディスク容量が約12万倍に増加したにもかかわらず管理は10人で行っている。これを、「ストレージのコストと人件費の両方を削減したことは、明らかなビジネスインパクトだ」と説明した。

 米国ではここ数年で数多くの法規制が加わり、金融機関はその対応に追われた。しかし、現在は法規制への対応だけではなく、「訴訟からの保護」にも注力しなければならないという。これに伴い、米国では裁判所や司法当局から金融機関に求められる情報開示要求が急増しており、バーコヴィッチ氏は「かつては1年間に1回程度だったが、四半期に1回、1カ月に1回、1日1回と増えてきた。今後は1秒に1回くらいになってしまうのではないか」と予測した。

 このような法規制や要件に対応するために重要な点を、バーコヴィッチ氏は「情報の分類分けだ」と説明する。企業内に存在する1つ1つの情報に対して、営業部や人事部、製造部などの関係部署すべてのリーダーが集まり、その情報の価値を定めることが重要なのだと強調する。全社的に定めた情報価値に従い、情報を取捨選択する必要があるとしている。

 また米国の法規制で求められている「長期間の情報保存」に対応するためには、「オープンスタンダードを利用すること」が重要だという。例えば、いま保存したデータであっても、10年後に対応したアプリケーションが存在しなければ閲覧できない。このことから、バーコヴィッチ氏は「独自仕様など、数年単位で変化や進化してしまう可能性のあるアプリケーションはふさわしくない。何十年たってもファイルへアクセスできることが最重要だ」と断言。「HTMLやXML、ASCIIといった標準的なプロトコルや仕様を利用することを推奨する」(同氏)としている。

 ある米国金融機関では、数百台に上るファイル/アプリケーションサーバを有しており、アプリケーションも数十種類が動いている巨大システムを稼働させていた。この状況でコンプライアンスを遵守するために、「オンライン上で2つのコピーを持つ」ことを迫られたという。そこで同社は従来のテープバックアップから、差分だけ保存できるオンラインバックアップの方式に変更。従来のテープバックアップでは毎日フルバックアップしていたため、1カ月で56Tbytes必要だったが、現在では差分の12Tbytesで済んでいる。

 最後にバーコヴィッチ氏は、コンプライアンスについて「米国では重要データの長期保存が義務付けられているが、ヨーロッパやアジアでは司法判断次第でプライバシーの観点から個人データの削除を命令される場合がある。これは明らかに地域間で価値観が異なっている例だが、今後はそのどちらにでも対応できる柔軟性が求められる」との見解を示し、「当社がワールドワイドでコンプライアンスを研究した結果、全世界のほぼ80〜90%の国が『データの不変性』を求めており、多くの国が数年以内にDVDやテープにデータを保存することを命じている。また、アクセスコントロールも重要視している国が多い」といった分析結果を披露した。

(編集局 大津心)

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