ILM実現のキープロダクト、HPがHSMツールを発表

2005/2/23

 日本ヒューレット・パッカードはポリシーベースでデータのストレージ間の移動を行うHSM( Hierarchical Storage Management:階層型ストレージ管理)のソフトウェア製品「HP StorageWorks File System Extender3.1」(FSE)を3月下旬に発売すると2月22日に発表した。HPが本格的なHSMツールを発売するのは国内外で初めて。FSEはHPが進める「情報ライフサイクル管理」(ILM)の中心的なソフトウェアになる。

HPのエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ストレージワークス製品本部 本部長 渡辺浩二氏(左)と同本部 大内剛氏

 ILMとはデータが持つビジネス上の価値に基づいて、ハイエンド、ミッドレンジ、ローエンドの階層型ストレージにデータをそれぞれ格納し、データ管理の全体最適を実現する考え方。HPのエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ストレージワークス製品本部 大内剛氏によると、HPの場合、ハイエンドのファイバチャネルディスクの1TB当たりの価格は200万円。ミッドレンジのSCSIディスクは50万円、ローエンドのSATAディスクが20万円弱、LTOテープドライブは3万円程度になる。ハイエンドストレージとテープドライブには同じ容量で60倍の価格差がでる計算だ。データを適切なストレージに保存することで、システム全体のコスト低減や、ストレージの利用率向上に結びつく。

 FSEはデータの作成日時やアクセス頻度、ハイエンドストレージの空き領域に応じて、データをハイエンドストレージからミッドレンジ、ローエンドのストレージに自動で移動する。参照しかされず更新がないデータをローコストのストレージに移動することで、管理コストを削減。逆にローエンドストレージに格納されているデータでも、アクセスの頻度が上がれば自動的に高パフォーマンスなハイエンドストレージに戻される。このプロセスをFSEで自動化する。

 FSEはLinux(NTFS)とWindows(CIFS)をサポート。LinuxとWindowsに対応するHPと他社のハイエンドストレージで利用できる。参照用データを保存するミッドレンジ、ローエンドのストレージはHP製に限られる。対応するのは、「Modular Smart Array 1000/1500」「Enterprise Virtual Array 3000/5000」「LTOテープドライブ MSLライブラリ」「LTOテープドライブ ESLライブラリ」。

 FSEは通常のファイルシステムを、データ更新を制限する機能があるWORM(Write-Once Read-Many)ファイルシステムにアップグレードする機能もある。設定した書き込み期間後に自動的にWORMにアップグレードし、ファイルの変更や、ファイルの属性、所有者、移動、名前の変更を禁止する。電子メールの長期保存を求める法規制などに対応する。

 FSEの税込み価格は403万4100円から。

 HPは2004年、ミッドレンジのストレージを相次ぎ発表し、ILM実現のための階層型ストレージのラインアップを充実させてきた。2005年はソフトウェアとサービス、そしてHPがストレージ管理の長期的なビジョンとして提唱している「StorageWorks Grid」への足場固めに取り組む考えだ。

 ソフトウェアではILMで中核となるHSMツールのFSEを発表した。サービスでは、3月1日に顧客企業のデータ管理状況をツールを使って調査し、ILMを導入した際の効果を事前に診断する「HP ILM アナリシス・サービス」を始める。同サービスはファイルサーバに特化したサービスで、企業内に分散したデータの可視化を行って、ストレージの使用容量や使用率、データ種別、アクセス状況、使用ユーザー分布などをレポートする。調査期間は1〜2週間。価格は20万円から。ユーザー企業やパートナー向けのILMの検証施設「RISS/ILM コンピテンスセンター」も3月1日にHPの東京・市ヶ谷の事業所内に開設する。

 HPが実現を目指すStorageWorks Gridとは、ストレージを標準的なOS、ハードウェアからなる最小の「スマートセル」に分解し、ストレージの拡張に合わせて、スマートセルを自動で追加する考え。スマートセルにはハイエンドストレージ用、セキュリティ用などソフトウェアによって機能を持たせる。HPが2月22日に発表した「HP StorageWorks Reference Information Storage System」(RISS)はStorageWorks Gridのアーキテクチャに基づいて開発されたストレージで、電子メールのアーカイブと検索に利用できる。前モデルからディスクの初期容量が1.7TBにアップ。新プロセッサの採用でパフォーマンスも向上した。

 HPのエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ストレージワークス製品本部 本部長 渡辺浩二氏はRISSについて「パフォーマンスが欲しいときにGridのコンポーネントを追加すれば、リニアにパフォーマンスを伸ばせる」と説明した。RISSは現状では電子メールのアーカイブと検索だけだが、渡辺氏は「RISSをデータベースやほかのアプリケーションで利用できるようにするAPIを今年後半にも公開する」と述べ、RISSをさまざまアプリケーションに適合させる考えを示した。StorageWorks Gridアーキテクチャを採用した別のストレージ製品も2〜3カ月以内に発表するという。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本ヒューレット・パッカードの発表資料

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