これからのレンタルビデオはオンデマンドで観る

2005/3/8

 オン・デマンド・ティービーは3月7日、NTT東西のフレッツユーザー向けに映像配信サービス「オンデマンドTV」の配信を3月9日より開始すると発表した。月額固定で映画が見放題のコースや、CATVやBS、CSのような多チャンネルを閲覧できるコースが用意されている。

左から伊藤忠商事 専務取締役 奧田陽一氏、オン・デマンド・ティービー 社長 梶原浩氏、NTT西日本 取締役 軸屋真司氏

 オン・デマンド・ティービーは、伊藤忠商事やNTT東西、スカイパーフェクト・コミュニケーションズが出資しているオンデマンドサービスを提供する会社。社長には伊藤忠でスカイパーフェクTVの立ち上げなどに携わった梶原浩氏が就任し、2002年10月に設立された。オンデマンドTVでは、伊藤忠商事が持っているタイム・ワーナーやスカイパーフェクTVのコンテンツを提供する。また、伊藤忠商事は3月7日にソニー・ピクチャーズと提携し、ソニー・ピクチャーズが製作する劇場映画をオンデマンドTVで配信すると発表している。

 オンデマンドTVでは、専用のセットトップボックス(STB)をフレッツ回線に接続すると、オン・デマンドで好きなときに見たい映画などを選んで観ることができるサービス。月額2100円で映画を好きなだけ観れる「みほうだいプラン」や、アイキャストが4月より提供する予定の多チャンネル放送を閲覧可能な「多ちゃんねるプラン」が用意されている。ただし、IPv6への対応が必要であるため、NTT西日本の「フレッツ・光プレミアム」や「Bフレッツ」「フレッツ・v6アプリ」、NTT東日本の「Bフレッツ」「フレッツ・ドットネット」に加入している必要がある。なお、サービスは当初大阪・京都エリアからサービスを開始し、年内には全国で提供を開始するとしている。

オンデマンドTVのメニュー画面

 技術面ではIPv6を利用して配信するほか、アイ・ビー・イーの協力によりパケットロスを軽減する「FEC(フォワードエラーコレクション)技術」を採用した。また、ユーザーインターフェイスはスクウェア・エニックスと共同で開発・改良したほか、STBはバッファローと共同で開発するなど、さまざまな企業の協力を得ている。コンテンツは、国内外の映画やアニメ、音楽、ドキュメンタリーなど各種用意しており、ワーナーやソニーピクチャーズの新作映画から名画までをラインアップに用意。初年度は約2800本から開始し、5年後には5500本を提供する予定だ。

 現在、レンタルビデオ市場は約2500億円だという。これを受けてオンデマンドサービス 社長の梶原氏は「恐らくビデオ・オン・デマンド市場は約1000億円規模になるのではないか」と推測。初年度は7.7万人、3年後には40万人のユーザー獲得を目指す。インターネットを介したビデオ・オン・デマンド市場では、すでにヤフーBBが提供する「BBTV」やKDDIの「KDDI光プラス」、ぷららの「Plala.TV on 4th MEDIA」、OCNの「OCN Theater」が先行して開始されている。この状況について、梶原氏は「まだ、始まったばかりの市場で特にシェアを大きく獲得している企業はないと考えている。各社の会員数はおおよそ1万人弱だろう。当社はシェア20〜30%を取りたい。これからは、家のテレビからオンデマンドで“好きなときに、好きなものを、好きなだけ”観る習慣が定着していくのでは」と意気込みを語った。

 今後の予定は、フレッツ・ADSLユーザーへの提供を9月ころより提供を開始する。また、次世代映像符号化方式「H.264」に対応したSTBの開発や、映像配信以外にもオンラインゲームやカラオケなど、双方向のコミュニケーションサービスの提供も目指すという。

(@IT 大津心)

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オン・デマンド・ティービー

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