ITILプロジェクトの経験から国内で独自開発

日本のITILは人材不足が最大のネック、BMCが教育を提供へ

2008/03/11

 BMCソフトウェアは2007年7月に、運用管理フレームワークのITILを包含する「Business Service Management」という考え方に基づく製品群で、2008年3月までに国内ユーザー企業10社の開拓を目標にすると宣言した。ふたを開けてみると、15社の獲得が確実になったという。

bmc01.jpg BMCソフトウェア 代表取締役社長の生駒芳樹氏

 それでも同社 代表取締役社長の生駒芳樹氏は日本におけるITサービス管理の現状に懸念を示す。「(ユーザー企業の)運用部門の人材をどう育てるか」が大きな課題だという。

 優れたIT運用管理の指針としての認識が高まっているITIL関連の資格取得者数に、この現状は端的に反映されている。ITIL入門編ともいえる「ITILファウンデーション」資格の国内取得者は約2万人もいるのに、実際に職場のリーダーとしてITILを推進していく人のための「ITILマネージャ」資格の取得者は200人程度に過ぎない。つまり知識としてのITILは広まりつつあるが、その知識を実践し、職場におけるIT運用を変えていくリーダー的な人が増えていかないというのだ。

 同社技術本部の松本浩彰氏も、顧客のITIL推進プロジェクトにかかわると必ず感じるのが人材と組織の壁だと話す。ユーザー企業内でリーダーがいないため、プロジェクトの推進力が得られない。形式としてのITILにこだわりすぎで、何を解決したいか、どう解決すべきかをシステマチックに考えるという方向に進まない。「これでは供給側がいくらがんばっても進まない」(松本氏)。最終的にはITIL関連製品市場も広がらない。

 そこでBMCでは4月に、独自のITIL関連教育プログラムを発表する予定だ。詳細はまだ明らかにしていないが、プロジェクトの進行に合わせて段階的にプログラムを提供する。まず、BMCの製品を導入すると決める前のユーザー企業に対し、戦略策定と組織力強化に関する教育を客先で個別に実施。これはセールスツールという位置付けではないと松本氏は断言する。「当社の教育を受けたあとに日本ヒューレットパッカードの製品を入れられたとしてもかまわない。ITILについての理解を前提とせずにRFPを出されてしまうよりはまし」という。企業がBMC製品の導入を決めた場合は、導入プロジェクトの初期段階で戦略に沿った基本情報の共有についての教育を行い、さらに戦略に沿った高度なマネジメント力の育成も行う。

 教育プログラムは、これまでの国内におけるITILプロジェクトにおける経験から日本法人が独自に編み出したもの。フレームワークを学習するのではなく、ディスカッションやハンズオンを中心に、それぞれの企業のマネジメントから現場まで広く参加者を募り、論理を共有し、戦略を考えることに主眼を置くという。

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(@IT 三木泉)

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