[Analysis]

トップのプレゼン力

2003/07/23

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 米コンピュータ・アソシエイツ(CA)が7月13日(現地時間)から3日間、ラスベガスでプライベートイベント「caworld 2003」を開催した。昨年までは、同社の技術動向や製品動向を中心としたセッションがプログラムの大半を占め、全体的に“地味な印象”をぬぐえなかった。しかし、今回は元米国務長官キッシンジャー博士の基調講演が盛り込まれるなど、“華やかさ”に力点を置いた催しとなった。

 CEOが変われば企業も変わる。チャールズ・B・ウォン会長からトップの座を引き継いだ現会長兼CEO サンジェイ・クマー氏の圧倒的なプレゼン力は、ウォン元会長の数段上をいく、との印象を受けた。もちろん、経営者としての能力を測るには、まだ時間が必要なのだが、それでも、CAという企業の装いが、クマー氏前とクマー氏後では明らかに異なる、という点は見逃せない。

 最大の違いは対外メッセージのアピール力が向上したこと。クマー氏は、“カンペ”も見ずに、しかも言いよどむことなく基調講演の2時間を完全に消化してしまう。会見の席上ではどんな質問に対しても歯切れよく即答する。1を聞かれれば、10を答えるサービスぶりを披露する。もちろん、ユーモアも忘れない。その精神はCAスタッフ全体に波及し始めている感じを受けた。

 あらめて考えるまでもなく、米国の一流企業の経営者は、プレゼンの達人ぞろいである。IT業界に限ってみても、ヒューレット・パッカードのカーリー・フィオリーナ氏、サン マイクロシステムズのスコット・マクネリ氏、アップルのステーブ・ジョブズ氏など、いずれもその豊かな個性を抜群の話術にブレンドしながら、聴衆の耳をつかみ、引きずりまわす。

 とはいえ、口先だけの経営者は困り者である。黙して語らない経営者もできれば遠慮したい。米国の企業には比較的、口達者な経営者が多く、日本は寡黙型が多いようだ。その点、CAのクマー氏はあきらかにいい意味で前者の典型である。彼の出身はスリランカだが。

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