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制作:アットマーク・アイティ 編集局

掲載内容有効期限:2005年3月31日

 

次世代映像ビジネス最前線

スタジオネットで変わる映像ビジネスの未来


地上デジタル放送がスタートして1年が経過した。その間、デジタル対応のテレビ受像器の普及が進み、2011年の完全移行までのロードマップが現実味を帯びてきている。放送ビジネス業界全体は、フルデジタル化対応を余儀なくされている。業界にもたらされる変化とは? また、制作側が享受できる新しいビジネスチャンスは?

   順調に進む放送の完全デジタル化

 2003年の12月より関東・近畿・中京の三大広域圏から始まった地上デジタルテレビ放送だが、懸念されていたアナログ周波数変更対策も順調に進められており、当初予定していた2006年末までに全国の県庁所在地など主要都市で放送開始、2011年7月24日には地上デジタルテレビ放送に完全移行し、現在の地上アナログテレビ放送の終了予定というロードマップの実現も現実味を帯びてきた。

 また、その流れを後押しするかのように、地上デジタル放送のチューナーを搭載したデジタル対応テレビは、アテネオリンピック需要やボーナス商戦といった節目となるイベントに牽引され好調な売れ行きを見せている。中でもデジタル対応の薄型テレビの人気ぶりは、今さら語るまでもないだろう。

 このようにテレビ放送のデジタル化初期段階にもかかわらずデジタル対応のハイビジョンテレビ受像器が先行して普及するという現況は、国策として始まったデジタル化政策の実施をさらに加速させるという識者もおり、1年余り前に始まったテレビ放送デジタル化の流れは大河となって完全移行という大海原にそそぎ込もうとしている。

   望まれる放送ビジネス業界全体でのデジタル化対応

 このような状況の中、放送ビジネスに携わる企業は、否が応にもテレビ放送のデジタル化を意識せずにはいられない。それは、放送局や放送事業者(番組供給事業者)だけの問題ではなく、映像制作事業者、ポストプロダクション、スタジオ事業者といったボトムエンドからトップエンドまでをも巻き込んだ問題として、業界全体での対応が迫られている。

 前述のようにハイビジョン対応テレビが普及するという現実は、エンドユーザー(視聴者)の側からより高画質な番組を求める声が高まってくることも予想される。それに対応するために制作段階の部分から高品質なものを供給する体制を整えなくてはならないのは当然だが、それを放送局や番組供給事業者などに送り届ける伝送路の部分でも劣化の許されない高品質なものをスピーディーに送り届けることが必須となる。そういった意味で従来のように、人手を使ったマスターテープの搬送といった手段に頼ってばかりはいられなくなるであろう。

 昨今、委託放送事業者から受託放送事業者のトランスポンダ、あるいはMSO(Multiple Systems Operator、ケーブルテレビ局統括運営会社)のようなCATV事業者までの伝送路は既に光ファイバー化されている例もあるが、その部分において、さらなる高品質や利便性が今以上に求められるのはいうまでもなく、加えてその下のレイヤー、つまり制作現場レベルでの伝送路の光ファイバー化も視野にいれた対応も必要となってくるであろう。伝送路の光ファイバー化は、デジタル時代を迎える放送ビジネス業界にとって、真剣に取り組まなければならない課題となっているのだ。

   デジタル化により生まれる新しい映像ビジネス

 一時期「デジタル革命」という言葉がもてはやされたことがある。メディアや伝達手段がデジタル化されることで、これまでにはない新しい使い方が生まれ、そこに新しいビジネスが登場するというものだ。制作現場や伝送路のデジタル化が進むことで、「これまでにない映像ビジネスが生まれるチャンス」(武蔵野美術大学・デザイン情報学科・今泉洋教授)と捉えることもできる。例えば、光ファイバーによる映像伝送サービスがもたらす技術革新は、これまでならコストや技術の面でとても実現できなかったような「複数のイベントやコンサート会場のライブ中継を結んで、各地からハイビジョン中継するといった大胆で魅力的な番組制作も可能となる」(今泉教授)だろう。

 また、今泉教授は、ボトムエンドからトップエンド、ひいてはその先のエンドユーザーまでをも巻き込むデジタル化のうねりは「大資本の後ろ盾を持たない制作会社やプロダクションなどにも、新しいビジネスチャンスがもたらされる」と分析する。HDDレコーダーによるタイムシフト視聴やコマーシャル飛ばしといった視聴方法があたりまえになりつつある昨今、「テレビ番組の“編成・編集権”は視聴者側に移りつつある」(今泉教授)。この流れはデジタル機器の発達とともに、さらに顕著なものとなり「放送事業者側の番組供給体制のあり方をも変える可能性を秘めている」(今泉教授)という。

 そういった時代を迎えるにあたり、今泉教授は、制作会社相互が連携した番組のデジタルアーカイブ構築の必要性を説く。制作会社相互と放送事業者が高品質な光ファイバーの回線で接続され、良質な番組や映像素材の受給がオープンかつスピーディーに行われることこそがデジタル放送時代に必要な映像制作現場のあり方であり、新しいビジネスを生む土壌となる、というものだ。

   NTTコミュニケーションズの映像伝送サービスがもたらすもの

 このようなデジタル放送時代を迎えるにあたり、NTTコミュニケーションズ(略称:NTT Com)は、放送局、委託放送事業者、制作プロダクション、ポストプロダクション、イベント中継といった放送ビジネスに係わる事業者に最適な映像伝送を実現する光ファイバーによる企業向け映像配信ネットワークサービス「スタジオネット」の提供を、2005年4月1日より開始する。TV伝送で実績のある同社の新サービスは、すでに大手番組供給会社と大手番組配信会社との間でコンテンツの伝送手段として採用が決定している。

 スタジオネットは、エンドユーザー同士をPoint - Pointで直接接続するのではなく、経路の途中にNTT Comビルを中継させることで、NTT Comビルを中核とした複数拠点への同時配信を可能にし、ユーザーは迅速な対応ができるようになる。その際の契約はユーザー拠点からNTT Comビルまでの片端回線単位で結ばれるため、コストの低廉化も実現できる。

イメージ図 ユーザー拠点とNTT Comビル間が1契約単位の利用イメージ

 特に、ひとつの映像素材を複数の拠点に同時配信したいというニーズに対応するPoint - Multi Point接続は、このサービスの大きな特長となっている。これまでなら、複数の拠点への同時配信は、複数の回線を用意する必要があったが、スタジオネットであれば、中継拠点のNTT Comビルから先を分配するだけなのでトータルコストの面で大きなメリットがある。特にイベント会場の模様を多拠点に向けて生中継するような場合には大いにその威力を発揮しそうだ。

 また、HDTV(ハイビジョン)、D1(地上デジタル)、NTSC(地上アナログ)など用途に合わせて選べる多彩な映像インターフェイスも特徴だ。NTT Comではこれらのインターフェイスに対応した機器を揃えているので、ユーザー側で別途特別な装置を用意する必要はない。

   同時配信、多彩なインターフェイスで映像流通を一気に拡大

 さらに、光ファイバーの波長分割多重技術を導入したことで、複数の映像信号を同時に伝送する方式にも対応可能だ。放送のデジタル化が進行中とはいえ、放送ビジネスの現場では、デジタル放送の必要性と普及傾向を横目でにらみつつ、まだまだユーザーの多い、従来の標準画質のコンテンツ環境を切り捨てることはできないという事情もある。そのような場合でも、この技術を使うことで、同一映像素材をNTSCとHDで同時に伝送する、といった利用が可能なのだ。

 また、制作現場における放送ビジネスの将来を見据えるのであれば、スタジオネットで、先に今泉教授が述べたような制作会社相互のデジタルアーカイブ構築を実現することもできるだろう。各制作会社間が光ファイバーで接続されることで、マスターテープから受け渡し用映像素材をコピーするといった時間と手間のかかる作業を軽減することも可能であろうし、何にもまして、映像素材の流通機会が一気に拡大するものと予想されるのだ。

 スタジオネットは、伝送距離に依存しない東京23区内均一料金制度や、NTT Comビルとユーザー間のみの片端回線契約、365日24時間保守体制など、放送のデジタル化時代を見据えたサービス内容を提供している。ユーザー拠点から1対の拠点間接続(2契約単位)の利用料は、月額51万4000円(税抜)。2005年4月1日のサービス開始は東京23区内からだが、順次提供エリアを拡大していく。さらに詳しい情報は以下のリンクから。



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