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ニュース解説

DVD+RWは混乱する書き換え型DVD規格の真打ちになれるのか!?
 
1.ついにDVD+RWドライブが発売へ

デジタルアドバンテージ 小林章彦
2001/08/25

 2001年8月20日、Hewlett-Packardが4.7Gbytes対応のDVD+RWドライブ「HP dvd100i」を発表した(HPの「DVD+RWドライブに関するニュースリリース」)。これに遅れること3日、8月23日にはリコーからもDVD+RWドライブ「MP5120A」が発表された(リコーの「MP5120Aに関するニュースリリース」)。DVD+RWは、1997年9月にソニーなどから記録容量3.0Gbytesのバージョンが発表された書き換え型DVD規格の1種だが、これまで対応製品が出荷されることはなかった(1998年5月にHPから「HP DVD Writer 3100i」という製品名で同規格を採用したドライブが発表されたものの、出荷はされなかった)。今回登場した製品は、記録容量をDVD-ROM(片面1層)と同じ4.7Gbytesとすることで、DVDビデオ・プレイヤーなどとの互換性を高めたのがポイントだ。

 書き換え型DVD規格が混乱する中、最後発として登場したDVD+RWが果たしてどういったものなのか、リコーのMP5120Aを中心に見ていこう(書き換え型DVD規格については、「ニュース解説:混沌のDVD規格、ライトワンス型のDVD+Rが登場」参照)。

リコーのMP5120A
CD-R/RWとDVD+RWに対応したドライブ。リコーでは、CD-R/RWとDVD-ROMに両対応の「コンボドライブ」の上位モデルとして位置付けており、MP5120Aを「スーパーコンボドライブ」と呼んでいる。

ついにDVD+RWドライブが発表

 下表は、両ドライブのスペックをまとめたものだ。なお、両ドライブとも9月下旬より出荷される。価格は、HP dvd100iが599ドル、MP5120Aがオープンプライス(6万円前後の予定)となっている。

型番 dvd100i MP5120A
ベンダ名 Hewlett-Packard リコー
タイプ 内蔵型
インターフェイス ATAPI
書き込み速度 DVD+RW:2.4倍速、CD-R:12倍速、CD-RW:10倍速
読み出し速度 DVD-ROM/+RW:8倍速、CD-ROM/R/RW:32倍速
価格 599ドル オープン
添付ソフトウェア HP MyDVD Video、HP Recordnow、PowerDVD、HP DLA、HP Simple Backup MyDVD、MotionDV STUDIO、B's Recorder GOLD、B's CLiP、WinDVD、DIGICLIP、earjam Internet Music Player
HP dvd100iとMP5120Aの主な仕様
表面上のハードウェア仕様はまったく同じであることから、確認はとれていないが、HPのdvd100iはリコーのOEM品の可能性が高い。添付ソフトウェアのMyDVDは、AV機器から直接DVD+RWメディアに録画できるDirect-to-DVDをサポートする(Pentium 4-1.4GHz以上のPCを推奨)。

 両ドライブとも、CD-R/RWとDVD+RWのコンボとなっているため、データ容量や用途によってCD-R、CD-RW、DVD+RWの3種類のメディアを選択することが可能だ。DVD+RWの規格を策定しているDVD+RW Allianceでは、DVD+RWをベースとしたライトワンス型の「DVD+R」を発表している(「ニュース解説:混沌のDVD規格、ライトワンス型のDVD+Rが登場」参照)。しかし、今回発表された両ドライブとも、DVD+Rには対応していない。リコーによれば、「次期モデル以降での対応になる」という。

 DVD+RWドライブは、すでにDell ComputerとHPがデスクトップPCに採用することを表明している。HPは、同社の家庭向けPC「Pavilion」シリーズにDVD+RWドライブを搭載することを明らかにしている(HPの「DVD+RWドライブ搭載の家庭向けPCについて」)。Dell Computerについては、どのような対応を行うか明らかにしていないが、現状のDVD-ROMドライブなどと同様、DVD+RWドライブをBTOメニューに採用し、ユーザーに選択できるようにするようだ。DVD+RW Allianceに加盟していることから、DVD+RWドライブ搭載モデルを用意するなど、より積極的な対応が行われる可能性もある(DVD+RW Allianceの「DellのDVD+RW Alliance加盟について」)。

 また、MP5120Aの製造は船井電機によって行われるという。リコーと船井電機は、2001年1月にCD-RWドライブおよびDVD+RWドライブの開発・生産で協業することを発表しており、リコーの協力工場としてMP5120Aの製造を担当する(船井電機の「リコーとのCD-RWドライブ/DVD+RWドライブの開発・生産に関する協業について」)。船井電機は、中国などに大規模な工場を保有していることから、生産が軌道に乗ることで大幅なコスト・ダウンが期待できる。なお、現在のところ船井電機ブランドによるDVD+RWドライブの販売予定はないようだ。

DVD-RAMとDVD-Rの問題点を研究したDVD+RW

 やっと販売が開始されるDVD+RWドライブだが、ほかの書き換え型DVD規格であるDVD-RAMやDVD-RWとはどのような点が異なるのだろうか(DVD-RAMについては、「特集:DVD-RAMドライブの実像」参照)。ある程度資料が公開されたMP5120Aを例にDVD+RWの特徴を見ていこう。

 DVD+RWは、CD-RWと同様、書き込み速度を規定し、書き込み速度とメディアの対応を明確にすることで、安定した書き込みを保証している。今回、HPとリコーから発表されたDVD+RWドライブは、どちらも2.4倍速であるが、今後さらに高速な書き込み速度を保証したドライブも現れる予定である。その場合も、DVD+RW Allianceで書き込み速度の上限が規定され、互換性の保証を行った対応メディアが販売されることになる。こうした規定が各社の開発競争の足かせになることも考えられるが、互換性の維持という点では、CD-RWの例を見ると効果があると思われる。

 また、DVD-RWでパケットライトを行う場合、事前にメディアのフォーマットが必要となる(標準的なディスク・フォーマットが決まれば、今後はフォーマット済みのメディアが販売されるようになると思われるが)。その時間に約90分を必要とする。一方DVD+RWでは、書き込み開始に必要となる部分だけをフォーマットすることで、フォーマット時間の短縮を図っている。そのフォーマットは、3分程度で終了するということなので、事実上、メディアを購入してくればそのままデータがすぐに書き込めるということになる。その後、残りの未フォーマット部分は、ドライブ自体が自動的に書き込みや読み出しを行っていない間にバックグラウンドでフォーマットするという仕組みだ。フォーマット中でも、書き込み/読み出しは割り込んで行えるのはもちろん、フォーマットが終了していなくても、ドライブから取り出し、DVD-ROMドライブで読み出すことができる(取り出すときに、ドライブが自動的にメディアに対して仮のリードアウトを書き込むようになっている)。この仕様は、PhilipsやMicrosoftが次世代CD-RWとして開発を行っている、Mt Rainier(マウント・レーニア)に似ている。リコーによれば、「Mt Rainierではないが、規格策定のメンバーはMt Rainierとほぼ同じであるため、自然と似たような仕様になってしまう」ということであった。

 DVDビデオについては、DVD+RWでは独自の「DVD+RW Video Recording Format」を規定している。このフォーマットでは、DVDビデオ・プレイヤーとの互換性を維持したDVDビデオの書き込みが可能で、DVDビデオの追記・編集も行えるという。これにより、DVD+RWドライブでDVDビデオ・データを書き込んだメディアに、DVD+RW対応の民生用DVDビデオ・レコーダーで追記することができるようになる。ただし、MP5120Aに関しては、当初はライティング・ソフトウェアが対応しておらず、DVDビデオの追記は行えない(ソフトウェアのバージョン・アップで対応予定)。

 肝心のDVD-ROMドライブやDVDビデオ・プレイヤーとの互換性だが、リコーによれば「7割程度の既存DVD-ROMドライブで読み出しが行えている」という。DVD-Rよりは互換性が低いものの、DVD-RWと同等で、DVD-RAMに比べれば格段に高いというレベルにあるようだ。

MP5120Aの工夫

 このほかMP5120Aでは、使い勝手を向上させるため、いくつかの工夫が加えられている。その1つがダミー・データの書き込みの省略である。DVD規格では、中心から約30mm(約1.1Gbytes)の領域までデータが書き込まれている必要がある。そのため、DVD-RやDVD-RWでは規格上の互換性を維持するため、例え1bytesのデータを書き込む場合でも合計で1.1Gbytesになるようにダミー・データが書き込まれる。つまり、1.1Gbytes以下のデータを書き込む場合でも、1.1Gbytes分の書き込み時間が必要となってしまうわけだ。リコーのMP5120Aでは、ダミー・データの書き込みを行わないモードをデフォルトとすることで、小容量のデータ書き込み時の時間短縮を実現している。ただし、ダミー・データを省略した場合、一部のDVD-ROMドライブで読み出せない場合があるため、ダミー・データを書き込むモードも用意している。その場合も、互換性の検証を行った結果、数百Mbytesの書き込みに抑えることにしたという。こうした規格外(DVD+RWはもともとDVD Forumの正式な規格ではないので、正確には規格外とも言えないのだが)の仕様が、互換性にどの程度影響を与えるかは、実際のドライブを入手したうえで検証してみたいと思うが、こうした工夫が使い勝手の向上を実現しているのは確かだろう。

 さらに、書き込み/読み出し精度を向上させるため、MP5120Aでは「ラジアルチルト補正機構」を装備している。ラジアルチルト補正機構とは、傾きセンサーでディスクの反りなどを常時検知し、リアルタイムでピックアップの台座の角度を制御することで、メディアに垂直にレーザーが照射されるようにするものだ。また、低発熱設計によるファンレス構造を採用することで、信頼性の向上も実現しているという。

  関連記事
混沌のDVD規格、ライトワンス型のDVD+Rが登場
DVD-RAMドライブの実像

  関連リンク 
DVD+RWドライブに関するニュースリリースENGLISH
MP5120Aに関するニュースリリース
DVD+RWドライブ搭載の家庭向けPCについてENGLISH
DVD+RW Alliance加盟についてENGLISH
リコーとのCD-RWドライブ/DVD+RWドライブの開発・生産に関する協業について

  更新履歴
【2001/09/28】 DVD+RW Video Recording Formatの対応について、

MP5120Aに関しては、当初はライティング・ソフトウェアが対応しておらず、DVDビデオの追記は行えない(無償バージョン・アップで対応予定)。

とありましたが、「ソフトウェアのバージョン・アップで対応予定」の誤りでした。無償か有償かは未定です。お詫びして訂正させていただきます。

 

 INDEX
  [ニュース解説]DVD+RWは書き換え型DVD規格の真打ちになれるのか!?
  1.ついにDVD+RWドライブが発売へ
    2.書き換え型DVD規格のメリット/デメリット

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