ソーシャルカンファレンス2012まとめレポート

いまの日本は「ソーシャル」が何か分かっていない


ソーシャルカンファレンス2012まとめレポート

五味明子
2012/7/6

コンプガチャ、炎上など問題点が多い「ソーシャル」

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 ソーシャルの世界は時間の流れが速い。特に、ここ1年ほどの変化はすさまじい。モバイルやクラウドといったほか、ほかのトレンドとも相まって、次々と新しいサービスがローンチされ、それに伴いユーザーの数も指数関数的に増えていく。

 これまでコミュニケーションの主流はコンシューマもビジネスもメールが主体だったが、いまやソーシャルがそれに取って代わる存在になりつつあると言っても過言ではない。もっと言えば、「ソーシャルがない世界では仕事もプライベートも回らない」という人の方が多いのではないだろうか。

 だが急激な普及は、その過程で大きなひずみを生みやすい。例えば、社会問題にもなったソーシャルゲーム業界の「コンプガチャ」問題はその象徴だろう。

 また、ソーシャルの拡散力は、ただの火種を大火事に発展させることがある。このため、個人や企業を問わず、ソーシャルを舞台にした“炎上”案件は、常にどこかで起こっている状態だ。ひどい場合、個人であれば実生活のプライバシーがさらされ、企業であれば信用や売上に大きな支障が出る。

 ソーシャルの力はプラスだけではなくマイナスにも働くことに人々が気付き始め、ソーシャルと距離を置く向きも少なからず存在する。だがおそらく、ソーシャルの流れはこれから先、加速することはあっても後退することはないだろう。まさにいま、過渡期を迎えているソーシャルと、われわれは今後どのように向き合うべきなのか。

 6月9日に東京・渋谷のミクシィ本社で行われた「ソーシャルカンファレンス2012」(主催:ASSIOMA)で行われた7つのセッションから、その答えを探ってみたい。

 なお、本カンファレンスは以下の3部構成で行われた(下記リストはインデックスになっています)

コンシューマライゼーションが生み出す“うねり”


伊藤忠テクノソリューションズ ITビジネスアナリスト 大元隆志氏
「ソーシャルメディアは、これから企業活動により深く影響を及ぼすことになる」

 最初に登壇したのは、本カンファレンスの主催者でもある伊藤忠テクノソリューションズ ITビジネスアナリストの大元隆志氏。現在のソーシャルの隆盛を支えるモバイルの台頭をテーマに「モバイル・グラウンズウェル」というタイトルで講演を行った。ちなみに「グラウンズウェル(groundswell)」とは「高まり、うねり」といった意味を持つ。

コンシューマライゼーションの加速

 大元氏はまず、「現在のITのトレンドは“コンシューマライゼーション”にある」と定義、それは「企業から一般消費者へと一方的に情報を発信する」これまでのスタイルではなく、「一般消費者の流行が企業にも押し寄せている」状況にあると語る。

 コンシューマライゼーションを加速している要素としては、クラウドコンピューティング、ソーシャルメディア、Internet of Things、ビッグデータ分析、モバイルグラウンズウェルなどを挙げている。

クラウドでBYODを超える

 企業のコンシューマライゼーションの中でも顕著な動きが“BYOD”(Bring Your Own Device)だ。現在、スマートフォンやタブレットの普及により、個人のデバイスを業務にも使う動きが世界的な潮流となりつつある。

 一方で、国内におけるBYODの広がりについて大元氏は「日本はセキュリティに対する意識が強いので、新しい技術を業務に使いたがらない傾向がある」としながらも、「ビジネスバリューの向上を目指すなら、セキュリティを強めつつ、BYODをビジネスに取り込んでいくべき」と語る。

 さらに大元氏は、すでに時代は「Beyond BYOD」―BYODを超えたモバイルグラウンズウェルを迎えていると話す。

 「スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスは、もはや『クラウドポータル』と言うべき存在になりつつある。デバイスの向こうには巨大なストレージ空間、データ空間が拡がっており、プライベートや業務に関係なくモバイルを通じたクラウドへのアクセスが一般的になる」(大元氏)

“ソーシャル太鼓持ち”の出現

 そうなれば、モバイルとほぼ一体化しているとも言えるソーシャルメディアと、それを利用する企業との関係性も変化することになる。

 特に、マーケティングの世界では、ソーシャルメディアを活用する“インバウンドマーケティング”が注目されているが、大元氏は「社外に対して一個人としての自分を発信する動きはより強まり、その活動が企業にも影響を与えるようになる」と紹介。

ソーシャルメディアを活用したインバウンドマーケティングは、より潜在顧客に強く働きかける効果をもたらす(大元氏の講演資料より)

 また、「社員一丸となってインバウンドマーケティングに取り組み、お客さんが発信する情報には、なんでも“いいね!”をクリックする“ソーシャル太鼓持ち”的な動きもある」(大元氏)としている。

実体をデジタルにするのは、モバイル

 最後に大元氏は、MITメディアラボ創設者のニコラス・ネグロポンテ氏の有名な言葉である「Atom to Bit(実体のあるものからデジタルへ)」を引用し、この「to」をつかさどる存在がモバイルであると指摘。

「Atom to Bit」をつかさどるのがスマートフォンに代表されるモバイルデバイス。変化はまだ始まったばかり(大元氏の講演資料より)

 「モバイルグラウンズウェルによる変化は始まったばかり。企業はこの変化を恐れないでほしい。変化することを“脅威”ではなく“チャンス”と捉え、すべてのステークホルダーが心地良くなれる世界の構築を目指すべき」(大元氏)

「Enterprise IT Platform 3.0」とは

 大元氏は、モバイルをポータルとしたクラウドやソーシャルメディアとのつながりが企業ITを支えるようになるとし、この動きを「Enterprise IT Platform 3.0」と名付けている。

「BYODは企業ITにおける最も注目すべきトレンド。うまく取り込めた企業が『Enterprise IT Platform 3.0』で勝利する」と大元氏(大元氏の講演資料より)

 なお大元氏は、後述のパネルディスカッション「第3部 … ジャパナイズ・ソーシャルメディアのこれから」にも参加している。興味を持った方は、ぜひ参照してほしい。

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 INDEX
ソーシャルカンファレンス2012まとめレポート
いまの日本は「ソーシャル」が何か分かっていない
Page1
コンプガチャ、炎上など問題点が多い「ソーシャル」
コンシューマライゼーションが生み出す“うねり”
  Page2
Facebookを見て「通信キャリアも変わらなくちゃ」
O2O―オンラインとオフラインの融合を現実にするNFC
  Page3
コンプガチャはクリエイティブじゃない
企業は“コミュニティ”で消費者と社会をつなげ
  Page4
ソーシャルで変わっていくテレビの役割
  Page5
ブランディング、運用、ビッグデータ分析、キュレーション
われわれの「ソーシャル」はまだ始まったばかりだ!


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