“ばら売り戦略”を続けるSAP、分析ツール市場に参入

2004/12/9

 SAPジャパンは12月8日、同社のビジネスインテリジェンス(BI)製品「SAP Business Intelligence」の新版を12月23日より出荷開始すると発表した。従来より、同社のBI製品は「ERP製品に同梱」という形式で提供されていたが、今後は“ばら売り”もしていく。

SAPジャパンSAPソリューションマーケティング本部本部長 三村 真宗氏

 SAP社が定義するBIとは、「SAP BW3.5」と「SAP NetWeaver」の組み合わせを指す。BIにNetWeaverが含まれる点について、SAPジャパンのSAPソリューションマーケティング本部本部長三村真宗氏は、「NetWeaverを販売するのとどこが違うのか。という問いに対しては、プラットフォームとしてNetWeaverを求めるのではなく、『BI機能が欲しい』というユーザーに対して、BI機能としてNetWeaverを提供するものだ」と説明している。

 同社では、従来よりERP製品の一部としてBI機能を提供しており、ERP導入企業約1200社のうち385社が利用しているという。販売額では年間10億円程度だ。三村氏は、「BI/CPM市場市場のシェア1位のベンダで売上高20億円弱、2位が15〜20億円程度だ。この額から当社はBI単体でも3位に位置し、単体でも十分にやっていけると考える」と語っている。

 今回発表された新版「SAP BW3.5」では、計画とシミュレーション機能を統合することにより、計画や予測など複数データの一元管理を可能にした。また、「SAP EP(Enterprise Portal)」との統合によって、プッシュ型の情報配信や購読・フィードバック機能を利用できるようになった。「SAP XI」を用いた既存システムとの接続性も向上しているという。

 単体販売開始に伴い、BI単体のライセンス体系を新設。1CPUあたり2000万円に価格設定した。BI分野では一般的にはユーザー数に応じた課金が主流であるため、「ユーザーが1000名で5CPU構成の場合、BIベンダ上位3社がおおむねBI導入に約2億円掛かっているところを、当社の場合半額の1億円程度で済む」(三村氏)と語り、価格面でも勝負できると強調している。

 また、同社のBW認定技術者の増加も単体販売戦略のきっかけになったという。現在、同社内に認定技術者が100名、パートナー企業に300名の計400名体制が完成。三村氏は「従来のERP導入企業におけるフォロー以外に、単体製品への対応へも手を回せる環境が整った」と語っている。

 さらに三村氏は「今後も、ばら売りをするという戦略は続けていく」と前置きしたうえで、「プラットフォームに他社製品やレガシーを使っている場合でも、当社のBIなどが必要な場合があるだろう。そのような場合に、ばら売りをしていれば選択肢の1つとして選ばれるはずだ。それぞれ単体の分野においても、シェア1位を狙っていく」と抱負を語った。

(編集局 大津心)

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SAPジャパン報道発表資料

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