企業に浸透しつつあるWeb2.0

Web2.0とインフォメーションワーカー、SAPの場合

2007/07/23

 「インフォメーションワーカー」という言葉が使われ始めたのは2003年頃。マイクロソフトがOfficeシリーズの新製品をリリースするタイミングで想定する利用者像を提示した。当時、マイクロソフト日本法人の代表取締役社長だった阿多親市氏は、インフォメーションワーカーを「情報を使って仕事をする人のこと」であると規定した。

SAP写真 SAP AGのバイロン・バンクス氏

 7月23日、SAP AGのバイロン・バンクス(Byron Banks)氏(Senior Director of Solution Marketing)は、企業におけるインフォメーションワークの作業価値が著しく増加していると指摘、業務の性質がよりナレッジベースに変化していると話した。業務上の状況の変化は、情報技術の進化にも影響を与えている。Web2.0のコンセプトは、ナレッジの編集や不特定多数の人々との情報交換を効率的にさばく技術的な解決策を提示する。「Web2.0の技術は企業に浸透しつつある。一気にではなく、少しずつだが」とバンクスは言う。

 Web2.0の技術が企業に導入されることで生じる問題点がある。WiKiで社内のさまざまな情報を管理したり、RSSフィードで情報を配信・管理するなどの仕組みは、インフォメーションワーカー個人には大きなメリットがあるが、企業のコンプライアンスやセキュリティのリスクを増加させる要因にもなる。それに対し、SAPでは「Web2.0は企業システムの一部として統合されるべき」という立場を取り、解決策として提示する。つまり、既存の業務プロセスの機能拡張として、Web2.0技術の導入を捉えるということ。SAP製ERPシステムの拡張機能として、インフォメーションワーカーのデスクトップ環境を「プラグイン」することを推進する。

 例えば、ウィジェットを介してデータが蓄積されているバックエンドシステムに接続し、情報を手軽に編集できるようにすること。携帯情報端末で企業内のデータにアクセスする環境を構築すること。SAPでは、Web2.0のコンセプトを持ち込んで既存業務プロセスの拡張を図ることや、マッシュアップアプリケーションの作成を総称して「Enterprise2.0」としている。

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(@IT 谷古宇浩司)

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