ソーシャル表計算を指向

まるでライトウェイトExcel――SaaS型表計算「OnSheet」を使ってみた

2007/07/26

 「Google Docs&SpreadSheets」をあっさり抜き去り、「Microsoft Excel」の後ろ姿が見えている――インフォテリアが7月25日にベータ版サービスを開始したSaaS型の表計算ソフトウェア「OnSheet」を使った感想だ。表計算としての基本機能が充実している。Excelを高度に使いこなす日本のビジネスパーソンの要求の大部分をOnSheetは満たすことができるのではないか。

 OnSheetを特徴付けるのはExcelシートの高度な再現性だ。SaaS型の表計算ソフトウェアを使うユーザーは、シートを新規作成するのと同時に、既存のExcelシートをアップロードして閲覧、編集することが多い。ローカルPCやファイルサーバにあるシートをネット上にアップロードしておけば、外出先から確認したり、編集可能。SaaS型ソフトウェアの優位を示す使い方だろう。

 しかし、Excelシートが正しく再現できなければその魅力も減少する。サンプルとしてExcel向けに作成された請求書のテンプレートを用意し、OnSheetにアップロードし、ファイルを開いてみた。

onsheet01.jpg 請求書のテンプレートをOnSheetで開く

 Excelファイルの元の内容がほぼ再現されている。セルの抜けやセルサイズの誤りはなく、組み込まれていた関数も正しく反映されている。日本語のフォントサイズもきちんと継承されているようだ。OnSheetで使える関数は500種以上、数値や通貨、パーセントなどの書式も対応する。グラフは36種をサポート。この互換性の高さがExcelファイルの高い再現性を生み出しているだろう。

 ただ、セルの結合が一部でうまく反映されず、テキストが欠けたように見える箇所があった。セルの設定をこの部分だけやり直す必要がある。同じファイルをGoogle Docs&SpreadSheetsで開いたところ、セル内のテキストは正しく反映されていた。別のシートで試したところ、OnSheetはグラフの再現性にも一部で難があった。セルやテキスト、オブジェクトなどで再現性の得意不得意があるようだ。

 インターフェイスが独特で、操作に慣れが必要なGoogle Docs&SpreadSheetsと異なり、OnSheetは「ほとんどExcelと変わらない使い勝手」(インフォテリアの代表取締役社長 平野洋一郎氏)。Google Docs&SpreadSheetsでアップロードできるのは1ファイルで500KBまでだが、OnSheetは2MBまでサポートする。OnSheetは“ライトウェイトExcel”として使うことができるだろう。

onsheet02.jpg
onsheet03.jpg OnSheetの関数機能とグラフ機能

マクロはASTERIA WARPで代替

 Google Docs&SpreadSheetsもそうだが、OnSheetもマクロをサポートしない。日本企業で使われるExcelのシートにはその企業特有のマクロが多く組まれている。いわばExcelシート自身にその企業のビジネスプロセスが染み込んでいる訳だ。企業にとってはSaaSであれなんであれ、表計算ソフトウェアのマクロ機能は欠かせない。OnSheetは企業のマクロ需要にどう応えるのか。それはEAIソフトウェアであるインフォテリアの「ASTERIA WARP」との連携だ。

 OnSheetはASTERIA WARPのパイプライン機能をサポートする。パイプライン機能はさまざまな基幹系システムからデータを収集し、目的に応じてデータを変換、出力する機能で、Webブラウザだけで簡単に設定できるのが特徴だ。OnSheetはこのパイプライン機能と連携することで、基幹系システムのデータをシートに反映させることができる。たとえばシートに「住所録」と入力すればデータベースから住所録のデータを読み出し、シートに反映させることなどが可能だ。このパイプライン機能との連携がマクロを代替するというのがインフォテリアの考えだ。

ソーシャルを指向する表計算ソフト

 OnSheetの表計算機能のベースは香港のベンチャー企業であるTeam&Conceptsの表計算ソフトウェア「EditGrid」。同社のFounder&Chairmanのデビッド・リー(David Lee)氏によると、EditGridは3万の登録ユーザーがいるという。EditGridは「ソーシャル・スプレッドシート」の側面がある。EditGridではシートごとにタグをつけることができ、Webサイトではタグクラウドを確認できる。いわばシートがコミュニケーションの1つの材料になっている形だ。

 OnSheetもシートにタグをつけることが可能で、ソーシャル・スプレッドシートを指向する。また、シートだけでなく、セルやセル内のオブジェクト、グラフのパーマリンクを取得でき、ブログなどに簡単に貼り付けられるようになっている。元のデータが変更されると貼り付けたデータも動的に変更されるなど使い勝手はよい。ソーシャル機能ではExcelを完全に超える。

onsheet04.jpg セルやオブジェクトのパーマリンクを取得できる

 OnSheetは個人向けは無償。法人向けは10月にサービス開始予定で、月額課金などの有償で提供する。

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(@IT 垣内郁栄)

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