[Analysis] Oracleと“縮れ麺しょうゆラーメン”デモ
2004/1/7
2003年12月17日〜18日に開催されたOracleWorld Tokyoでおもしろかったのが、地図情報を使ったデータベースサービスだ。年末年始になると、コート姿のビジネスマンが白い紙を片手に周りを見渡しながら忘年会、新年会の会場に急ぐ姿が街中で見られる。季節の風物詩だ。しかし、もう少し時代が進むと、手の中の白い紙はなくなるかもしれない。
OracleWorld Tokyo展示会場のOracle 10gブースでは、「Oracle 10gが実現するロケーションベースドサービスがおりなす超時空間の世界」と題したデモンストレーションが行われた。
ロケーションベースドサービスとは、携帯端末、車などといった移動端末の位置情報を、Oracle Databaseで管理しているほかの情報と組み合わせて、ユーザーにサービスとして提供するという内容。
ステージでは、地上3万6千キロメートルの上空から鳥が滑降するように東京タワーまで降り立ったのち、OracleWorld会場の東京ビッグサイトまでの道のりを衛星画像やラスターデータを使ってたどったり、Oracle
Database 10gで管理された3テラバイト容量の衛星画像データベースを駆使して、高速に住所検索などを行うといったデモンストレーションが行われた。
その中でも携帯電話を使った3Dベースの街歩きナビゲーションが魅力的だった。現在地から目的地までの交通機関のルート探索、そして最寄り駅から目的地までの道案内が、携帯電話のディスプレイ上に3Dのマップとして表示されるのだ。デモでは、営団地下鉄
銀座一丁目の駅を地上に出たところから数奇屋橋交差点までのルートが表示されたのだが、画面にその途中の商業施設がリアルな3Dイラストとして表される。たとえ銀座に初めて来たとしても、迷わないで済むだろう。商業施設の催し物情報などといった付加データも3Dマップ上に表示可能なので、情報誌代わりにもなりそうだ。
Oracle Database 10gは、このサービスで3Dイラストデータ、付加データの管理システムとして採用されており、「ある携帯電話会社の新しい付加価値サービスとしてもうすぐサービスインする予定」と、日本オラクル
マーケティング本部 システム製品マーケティンググループ シニアマネージャー 西脇資哲氏は壇上で語っていた。
一方、展示会場の別のブースでは、ゼンリンデータコムがカーナビゲーションシステム「SA・TSU・KI 00MODEL」を紹介していた。実際にシステムを搭載した自動車を会場に持ち込んだ凝ったデモである。こちらは地図自体は2次元なのだが、音声認識エンジン、音声合成エンジンなどを搭載していて、SA・TSU・KIという女性3Dキャラクタがユーザーをナビゲートしてくれる点が新しい。例えば「おなかがすいた」とユーザーがSA・TSU・KIにいうと、「何か買う? どこかで食べる?」とSA・TSU・KIが問い返す。ユーザーが「買う」といえば、コンテンツ情報を格納したOracle
Databaseからコンビニエンスストアなどのショップを検索し、「どこかで食べる」といえば何を食べるかで近隣のレストラン情報を表示するといった具合だ。実際のデモでは、ゼンリンデータコムのラーメン地図ソフト「ラーメン全国地図」の写真データや文字データを使って、“縮れ麺のしょうゆラーメン”といったように、こだわりのラーメン店を検索していたのが興味深かった。
これまで、データ量の大きさやその膨大さから地図や画像を使ったデータ検索サービスには制限があったが、いよいよ実用段階に入ってきたことを実感したOracleWorld
Tokyoだった。視覚に訴えるシステムは分かりやすい。社会を大きく変える新サービスの登場も間近な気がする。
(吉田育代)
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