もうこれからは、WordやExcelにお金を払う必要がない?

2006/7/8

 セールスフォース・ドットコムは7月7日、プライベートイベント「Success On Demand Tour 2006 Summer」を開催し、米セールスフォース・ドットコム 会長兼CEO マーク・ベニオフ(Marc Benioff)氏が「ソフトウェアの未来」と題した基調講演を行った。

 ベニオフ氏は冒頭、「数十から数億単位の顧客を前提に設計されたサービスは、企業規模を問わず、提供するソリューションの本質とコストを劇的に変えさせる」という米マイクロソフト チーフソフトウェアアーキテクト ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏の言葉を出し、「ゲイツ氏はこの考えに基づいてマイクロソフトを創設した。同社内では、『Webサービスの分野で当社はSalesforce.comに後れを取っている』と発言しているという。つまり、同氏は現在ソフトウェア業界に起こっている劇的な変化に気付いていたからこそ、引退を表明し、チーフアーキテクトをソフトウェアサービスに強いレイ・オジー(Ray Ozzie)氏に譲ったのだ」と推測。ソフトウェアが、パッケージからサービスへと劇的に変化していると強調した。

ソフトウェアはオンデマンドへ移行すると強調する米セールスフォース・ドットコム 会長兼CEO マーク・ベニオフ氏
 すでにコンシューマ向けマーケットでは、GoogleやYahoo!、iTunes、Amazon.comのようなWebプラットフォームを中心としたサービスが台頭し、さらにWeb 2.0やAjaxなどの技術がこれを後押ししていると指摘。「なぜ、まだSAPやOracleを買っているのか? コンシューマ向けサービスと同様に、Webはビジネスアプリケーションも変えた。ビジネスWebが、コンシューマ以外の分野を補完する」と語り、ビジネス分野においてもWebサービスが今後主流になっていくとした。

■未来のソフトウェアに必要な10個の条件

 次に同氏はソフトウェアの未来に必要な10の条件を提示した。1つ目はマルチテナント方式の共有システムで、これは複数のソフトウェアやサービスが1つのサービスベンダから提供されることをさす。ベニオフ氏は「iTunesとAppleは同じベンダから提供されているものだ。このように大きく成長しているベンダは、ほとんどすべてマルチテナントになっている」と指摘した。2つ目は、高性能&高信頼性だ。同社は、1トランザクション当たり300ms以下で99.9%という自社の高い稼働実績を挙げ、高信頼性の重要性を説いた。さらに同社では信頼を得るため、Webサイト上でサーバのレスポンスタイムや稼働状況などの情報を公開しているという。

 3つ目はビジネスアプリケーションの民主化だ。これは、1人でも1万人以上でも同時に使用できることを指し、どんな規模のビジネスにも同じレベルのサービスを提供できなければならないとした。4つ目は、メタデータによるカスタマイゼーション。これは顧客自身によるカスタマイズの容易性を指す。ベニオフ氏はOracleの例を挙げ、「Oracleユーザーの多くは、自分好みにカスタマイズを施す。しかし、バージョンアップやバグフィックスを行うたびに1からカスタマイズをやり直さなくてはならず、苦労していた」と指摘し、サーバ側で一元的にバージョンアップし、データも引き継げるWebサービスの利点を強調した。

 5点目はマッシュアップだ。これは、複数のWebアプリケーションを統合したアプリケーションで、GoogleマップとFedExのWebサービスを組み合わせ、現在の荷物の位置を地図上に表示したりすることもできることを示し、「これこそがアプリケーションに新たな価値を生み出すことができる。革命的な出来事だ」と称賛した。6つ目は標準のWeb APIを使用して簡単にサービスを統合できる点を挙げ、7点目には開発環境をサービスとして提供できる点を挙げた。

 そして、8つ目にはネットワークやアプリケーションディレクトリから選択できる点を、9つ目にはWindowsと同じように同時に複数のアプリケーションを起動できる「マルチアプリケーションの提供」を挙げた。最後となる10点目には、1度プログラムを作成するだけで、あらゆるデバイスで稼働可能な「マルチデバイス対応」を挙げた。

■Writelyやnumsumがあれば、もうWordやExcelは買わなくていい?

 さらに、ビジネスでよく使われている表計算やワープロ、データベース、ドキュメント管理など、さまざまなアプリケーションがすでにWebサービスとして提供されているとし、「何よりも重要なのは、これらのWebアプリケーションのほとんどが無料で提供されている点だ。お金を払ってWordやExcelを買う必要があるだろうか? Webサービスを利用すればWeb上で共有できたりするなど、メリットの方が多いはずだ」と語り、今後ソフトウェアがWebサービス化していく理由を示した。

ベニオフ氏が行ったデモの一部。これはAjaxで作られたワープロサービス「Writely」を使って同氏の自宅の改修工事の書類を複数人が共有し、共同作業で編集しているデモだ
 例として、最近Googleが買収したWebワープロサービス「Writely」を示し、「Office Word」と同等の機能を有していることをデモ。共同制作や中央集中ドキュメント管理、ユニバーサルアクセスなどのメリットがあることを示した。そのほか、Excelと同等の機能を有する「numsum」や、企業ドメインでメールの送受信ができる「https://www.google.com/hosted」などを続けて紹介し、「インターネット上で革命が起きている。これらの機能をマッシュアップを用いて、自社サービスやSalesforce.comと統合すれば、Web上でほとんどの業務が完結するだろう。ソフトウェアはもう要らない」と語った。

 そして、最後に「Salesforce.comは、未来のソフトウェアに必要な10個の要件をすべて満たしている。さらにAppExchangeで公開されているさまざまなアプリケーションや、Writely、numsumをマッシュアップで用いれば、もはやすべてWebブラウザ上で完結する。これにより、クライアントやサーバの管理コストを大幅に削減できるだろう」と語り、Salesforce.comの可能性を示した。

(@IT 大津心)

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