Ultra DMA/66の性能を徹底検証

1.Ultra DMA/66、Ultra DMA/100登場の背景

 

澤谷琢磨
2000/07/06

 台湾で2000年6月5日より開催されたPC関連の機器展示会「Computex Taipei」で、IntelのPentium III用チップセットのIntel 820Eが正式に発表された(インテルの「Intel 820の発表に関するリリース」)。Intelの800番台(810、820、840、815)のチップセットは、MCH(Memory Controller Hub)、ICH(I/O Controller Hub)、FWH(Firmware Hub)と呼ばれる3つのチップで構成されているが、Intel 820EではICHに大きな改良が加えられ、ICH2と呼ぶ新ICH(型番は82801BA)が採用された。ICH2の特徴の1つが、Ultra DMA/100のサポートにある。

 Ultra DMA/100とは、PCの標準ディスク インターフェイスであるIDE(Integrated Device Electronics)の規格の名称であり、既存のUltra DMA/66を高速化したものだ。その名の通り、Ultra DMA/100に対応したIDEデバイスは、最大100Mbytes/sの転送レートをサポートする。数値上は、現在最も普及しているUltra DMA/66に対して、1.5倍の性能向上を実現したことになる。

 Intel 820Eの登場と時を同じくして、Ultra DMA/100の規格化を推進したハードディスク ベンダのQuantumは、Ultra DMA/100の仕様を6月中に公開すると発表した(一部では規格が発表されたかのように報道されているが、まだその内容については正式公開はされていない)。IDEコントローラ ベンダ、ディスク コントローラ ベンダからも複数のUltra DMA/100対応製品が発表されており、IDE関連の新製品は一気にUltra DMA/100対応製品へ移行するものと予想される。

 だが、現時点でIDEハードディスクが100Mbytes/sの転送レートを必要としているかというと、必ずしもそうではない。Ultra DMA/33が登場したときも、Ultra DMA/66のときもそうだったが、IDEインターフェイスの高速化は、ハードディスク自体の高速化に先んじて行われている。そのためこれまでは、新しい規格が登場しても、しばらくの間は、その1つ前の規格でもインターフェイスがボトルネックとなることはなかった。

 そこで、今回はUltra DMA/100の1つ前の規格であり、現在最も製品が豊富なUltra DMA/66の評価を行い、その性能を計測してみた。Ultra DMA/100が発表されたとはいえ、対応デバイスが一度に切り替わるわけではない。また、Ultra DMA/100の物理的な制限は、Ultra DMA/66から導入されたものと変わらない。Ultra DMA/66について、その性能と制限を確認しておくことは、Ultra DMA/100の準備にもつながるはずだ。

 実際にUltra DMA/66を導入しその性能を引き出すには、IDEインターフェイスの知識を必要とするので、今回はUltra DMA/66対応IDEハードディスクの導入過程を追いながら、Ultra DMA/66について必要な知識の再確認も行う。この知識は前述のとおり、Ultra DMA/100に移行してもそのまま使える。そのうえで、Ultra DMA/66対応ハードディスクを種々の条件のもとで計測する。Ultra DMA/100登場直前のIDEハードディスクの性能を測定することで、Ultra DMA/66について正確な評価を下したい。

劇的に向上するハードディスクの容量

ハードディスクの面記録密度の向上

 このグラフは、1990年から2000年までのハードディスクの面記録密度の向上と、IDEインターフェイスの発展を表したものだ。IDEインターフェイスがわずか数年で3回ものアップデートを受けていることにまず目が惹かれる。なぜこれほど頻繁にアップデートを繰り返さなければならなかったのだろうか。その答えは、指数関数的に増加するハードディスクの記録密度にある。

 1996年頃から、ハードディスクの面記録密度は飛躍的に向上している。面記録密度が向上すると、プラッタ(ハードディスク内部の記録ディスク)1枚あたりの記録容量が増える。ほんの2年ほど前までは1プラッタあたりの記録容量は4Gbytes前後であったが、現在では15Gbytes〜20Gbytesにまで向上している。つまり、この2年間で約4倍以上の記録密度の向上を実現しているわけだ。

大容量のハードディスクは転送速度も速い。

 一般にハードディスクのプラッタあたりの記録容量が増えると、ハードディスクとPCの間のデータ転送速度は向上する。

回転数、面記録密度とデータ転送速度
右上の図は、同じプラッタのまま回転数を5400rpmから7200rpmに向上させた場合を示している。回転数を上げると、単位時間あたりに読み取れるデータの総量が増える。右下の図は、プラッタ回転数は同じ5400rpmのままでも、単位面積あたりの記録密度が高ければ、結果として単位時間あたりに読み出せるデータ総量が増加することを示している。

 こうしてハードディスク自体のデータ転送性能が向上しても、PCとハードディスク間のデータ転送速度が速くならないと、最終的にハードディスクの性能を活かすことはできない。

ハードディスクとディスク インターフェイスの関係
記録密度の向上により、A(メディア転送速度)が改善されたとしても、B(ディスク インターフェイス間の速度)が高速化されないと、CPUからみたハードディスクの速度は向上しない。

 なお、メディアの転送速度の向上については、米Western Digitalの「Ultra ATA/66 Extends Existing Technology While Increasing Performance and Data Integrity」という資料中のグラフで示されているので、参考にしていただきたい。

 そのため、図「ハードディスクの面記録密度の向上」で示したように、IDEインターフェイスの高速化も急ピッチで進められているわけだ(図「ハードディスクの面記録密度の向上」では、実際に製品の登場した年を示していることに注意していただきたい)。Ultra DMA/66やUltra DMA/100といったIDEインターフェイスは、高速なディスク インターフェイスの必要性から導入されたのだ。

関連リンク
インテル Pentium III プロセッサ搭載のパフォーマンス PC向けチップセット「Intel 820E」を発表
米Quantum Ultra ATA/100のホワイト ペーパー
日本クアンタム ペリフェラルズ PCの高速化と信頼性の向上を実現する ULTRA ATA/100規格を発表
米Western Digital Ultra ATA/66 Extends Existing Technology While Increasing Performance and Data Integrity

 
     

 INDEX
  [実験]Ultra DMA/66の性能を徹底検証
1. Ultra DMA/66、Ultra DMA/100登場の背景
  2. 実験前の下準備
    2-1. 機材を揃える
    2-2. 設定の確認
    2-3. デバイス ドライバを設定する
  3. Ultra DMA/66の実力を測る
    3-1. ハードディスク間の比較
    3-2. 転送モード間の比較
      コラム Windows 2000における転送モード間の比較
    3-3. IDEコントローラ間の比較
      コラム Windows 2000におけるIDEコントローラ間の比較
    3-4. Windows 98標準ドライバとベンダ製ドライバとの性能比較
    3-5. アプリケーション ベンチマーク テストで性能差は現れるのか?
  4. Ultra DMA/66は必要なのか?
 
「PC Insiderの実験」

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