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UNIX互換環境を実現するSFUを利用する

 

デジタルアドバンテージ
2004/01/24
 
対象OS
Windows XP Professional
Windows 2000 Professional
Windows 2000 Server
Windows Server 2003
Services for UNIX(SFU)は、WindowsシステムとUNIXシステムとの相互運用性を高めるためのシステムであり、無償で提供されている。
SFUを導入することにより、UNIXのアプリケーションをWindows OSへ移植しやすくなる。
UNIXシステムとNFSやNISを共有して、相互運用性を高めることができる。
 
解説

【2011/02/04追記】SFUはWindows 2000、Windows XP、Windows Server 2003向けのシステムです。Windows Vista/Windows Server 2008以降のWindows OS向けである後継のSUAについてはTIPS「UNIX互換環境を実現するSUAを利用する」を参照してください。

 Windows OS上で、UNIXやLinux互換環境を実現するためのシステムとして、マイクロソフトは「Microsoft Windows Services for UNIX(以下SFUと略記)」というソフトウェア製品を提供している。従来はOSとは別の有償製品としてパッケージ販売されていたSFUであるが、UNIX/Linuxアプリケーションの移行やシステムの相互運用性を高めるため、最新のバージョン3.5では無償で提供されるようになった。

 SFUに関する詳しい説明は別稿の製品レビュー「Microsoft Windows Services for UNIX 3.0日本語版」および「Windows Services for UNIX 2.0」に譲るが、簡単に述べると、Windows OS上にUNIX互換のサブシステム環境(Interixサブシステム)を実現し、UNIX向けのプログラムを再コンパイルするだけで実行可能にするためのシステムである。システム・コールのレベルでUNIX環境を実現することにより、ユーティリティやアプリケーションだけでなく、APIレベルでもUNIX/Linux環境との高い互換性を実現している。

 SFU 3.5日本語版では、従来のSFU 3.0に対して以下のような点が強化されている。詳細はSFUのWebページにあるドキュメントを参照していただきたい。

  • 国際語化の推進―NFSサーバやNFSクライアント、NFSゲートウェイ・サービスなどにおいて、国際語化の対応を改良し、より多くの文字コードに対応した。
  • NFSサービスの改良―NFSサーバにおけるActive-Active形式のクラスタ・サポートや、ボリューム・シャドウ・コピーのサポート、パフォーマンスの改善などを行った。
  • APIの強化―pthreadサポート、国際語化の強化、パフォーマンスの改善などを行った。

SFUの入手とインストール

 SFU 3.5は、将来はTechnet PlusやMSDNなどでも配布される予定であるが(CD-ROM配布も予定されている)、現在では(原稿執筆時点では)ダウンロード・センターでユーザー自身がダウンロードしてインストールすることになる。

 現在のところ、ダウンロードを行うためには、.NET Passportを使った認証を受ける必要がある。またダウンロード時には、ユーザー自身の職業や簡単なアンケートなどに答えなければならない。

 ダウンロードされた.EXEファイルを実行すると、SFUの各ファイルが指定されたフォルダ中に展開される。これはそのフォルダ・イメージのままCD-Rなどに書き込んでから使うように作られているが(最上部にはautorun.infファイルなどが用意されている)、トップにあるsetup.exeをダブルクリックして直接インストール作業を行ってもよい。

 インストール・プログラムを起動すると、システム構成に応じてインストール・オプションが適宜選択される。例えばサーバOSへインストールする場合は、自動的にNFSサーバ・サービスもインストールされるが、インストールする機能をすべて手動で選択することも可能である。クライアントOSなら、デフォルトではドキュメントと基本ユーティリティが選択されているが、ソフトウェアの開発を行うのなら、[Interix GNU SDK]などを選択することにより、GNUプロジェクトのCコンパイラ(gcc)などが選択され、インストールされる。必要ならば、また後でコンポーネントを追加・削除することもできる。

SFUを利用する

 SFUをインストールしても、メニューには管理ツールとヘルプ・ファイル、そしてシェルプログラム(C ShellとKorn Shellの2つ)が登録されるだけである。すでにUNIXやLinuxに慣れ親しんでいるユーザーならばすぐにシェル・ウィンドウを開いて仕事を始めることができるだろうが、Windowsしか使ったことのないユーザーには少々とっつきにくいかもしれない。ただし残念ながら、(少なくとも現状の)SFUには、EmacsとX Window Systemのサーバは用意されていないので、UNIXやLinuxのデスクトップ環境をそのまま移行して使うといった用途には向かない。あくまでもUNIXシステムとの相互運用や、UNIX上で開発したプログラムの資産などをほとんど変更することなくWindowsで利用する、といった用途に向いている。

Windows Services for UNIX 3.5 日本語版の使用例
SFUをインストールしても、メニューには管理ツールとヘルプ・ファイル、そしてシェルプログラムが登録されるだけであり、Windowsしか使ったことのないユーザーには少々使いにくいかもしれない。これはシェルを開いてプログラムを作成し、コンパイルして実行しているところ。左上はSFUの持つTelnetサーバやNFS機能の設定を変更、確認するためのGUIツール。

 SFUのより詳細な使い方やプログラム開発の例などについては、前掲の「Microsoft Windows Services for UNIX 3.0日本語版」などの記事を参照していただきたい。Windows OSの上にUNIXシステムを再現しているため、例えばルート・フォルダの扱いが特殊になっているなど(SFUの/dev/fs/CがWindowsのC:\になる)、通常のUNIXとは勝手が異なる部分があるので、注意する必要がある。

 なおSFU向けに作成されたバイナリ・プログラム(UNIX用のものをSFU向けにコンパイルし直したもの)などがInterop Systems社からも提供されており、必要ならばこれらのツールをダウンロードして利用することもできる(日本語SFU向けツールも用意されている)。End of Article

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