Windows 2000 Insider/PC Insider合同特別企画

Windows XPの正体
―― 実験/実証によって探るWindows XPの真実の姿 ――

次世代に向けたCD-R/RWの書き込み機能のサポート

元麻布春男
2001/06/23


 現在、最も普及している(書き込み可能な)リムーバブル・ストレージといえば、CD-R/RWドライブであることに異論を唱える人はいないだろう。実売が1万円台のドライブも珍しくないし、メディアのバイト単価の安さという点でも、ほかのデバイスを大きく引き離している。CD-Rには書き換えができない(消去もできない)という欠点があるものの、メディアの安さがそれを補っている格好だ(CD-RWでは書き換えや消去が行えるが、メディアはCD-Rに比べて若干高い)。

 ところが、これほど普及しているCD-R/RWドライブを、Windows系OSは標準的にサポートしてこなかった。もちろん、CD-R/RWドライブを利用できなかったわけではない。ただ、実際にCD-R/RWメディアへの書き込みを行うには、Windowsに付属する標準ツールでは不可能で、サードパーティ製のCD-R/RWライティング・ソフトウェアが必要だったのである。果たしてこの状態をもってして、CD-R/RWがWindowsでサポートされていたといってよいのか悩むところだ。

 しかし、Windows XPにはついにCD-R/RWライティング機能が標準で搭載されることとなった。その機能は単純なデータCDと音楽CDの作成に限定されるが、これでCD-R/RWは名実ともにWindowsで標準的にサポートされるデバイスとなったわけだ。CD-R/RWドライブは、機種ごとにコマンド・セットなどが異なる部分があり、これを制御するソフトウェア側がこれに対応する必要がある。現時点でWindows XPがサポートするCD-R/RWドライブのリストは公開されていないが、手元にあるドライブで試したところ、かなり古いドライブでも大丈夫だという感触を得ている。リコー製のMP6200S(SCSI対応の2倍速CD-R/RWドライブ)、日本電気製のPC-MCDR220AD(PD-1 ODX658:PD互換の2倍速ATAPI CD-Rドライブ)といった1998年前後に販売された古いドライブでデータCD/音楽CDの作成を実際に試してみたが、問題なく動作した。このあたりは、Roxio(Adaptecからスピンオフして設立された、Easy CD Creatorの開発・販売元)が、Windows XP向けに提供したCD-R/RWライティング・エンジンに負うところが大きいのかもしれない(ロキシオジャパンのホームページ)。

Windows XPのCD-R/RWライティングのサポート範囲

 さて、Windows XPでデータCDを作成するのは極めて簡単である。[マイ コンピュータ]にあるCD-R/RWドライブのアイコンに、書き込みたいファイルをドラッグ・アンド・ドロップするだけだ。CD-R/RWメディア上にすでにファイルがある場合は[現在CDにあるファイル]の下にファイル名が表示され、これから書き込もうとするファイルは[CDに追加するファイル]の下に表示される。これは書き込むファイルを、いったん「ステージング領域」と呼ばれるハードディスク内のテンポラリ領域(通常はC:\Documents and Settings\ユーザー名\Local Settings\Application Data\Microsoft\CD Burning)に置き、メニューから[タスク]−[CDに書き込む]を選ぶことで、CDイメージをハードディスク上に作成し、CD-R/RWメディアへの書き込みを開始するためだ。逆にキャンセルするには、[タスク]−[ステージング領域を消去する]を選べば、テンポラリ領域のファイルは消去される。

CD-R/RWのライティング機能を使って2つのファイルを書き込むところ
CD-R/RWにファイルを書き込むには、このウィンドウにファイルをドラッグ・アンド・ドロップして追加し、[タスク]−[CDに書き込む]を選択すると、CD-Rへの書き込みが開始される。
 
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[ステージング領域を消去する]を実行した画面(拡大画面:60Kbytes
[タスク]−[ステージング領域を消去する]を選択すると、CD-R/RWに書き込まれていないテンポラリ領域のファイルは削除される。

 Windows XPがサポートしているCD-R/RWの書き込み機能は、ただこれだけのことで、サードパーティ製の高機能なライティング・ソフトウェアと異なり、JolietISO 9660といったファイル・システムを指定したり、ディスク・アットワンストラック・アットワンスなどの書き込み方法を指定したりする必要はない。というよりも、初期値から変更できないといった方が正しい。作成されるCDのフォーマットについては、マイクロソフトのドキュメントなどに情報がなく不明だが、実際に試した結果、日本語ファイル名やロング・ファイル名も問題なく書き込めた。なお、作成されたCD-R/RWは、クローズ処理されていない、データを追記可能な状態となる。クローズ処理は指定できないので注意したい。また、上述した手順でも分かるとおり、オンザフライ書き込みもサポートされていない。[CDドライブのプロパティ]画面で指定可能なオプションは、CDイメージを作成するドライブと、書き込み速度だけだ。

[CDドライブのプロパティ]の画面
CD-R/RWのライティング機能で設定できる項目は、CDイメージを作成するドライブと書き込みスピードだけだ。画面を見ても分かるように、CD-R/RWのライティング・エンジンは、Roxio社から提供されたものである。

音楽CDの書き込みはWindows Media Playerから行う

 音楽CDの作成には、標準添付されるWindows Media Player 8.0を用いる。こちらの手順も比較的簡単だ。CDに記録したい曲の再生リストを作成し、それをCD-R/RWにコピーするだけ。曲データは、Media Player 8で再生できるものなら、WAVファイルでもWMAファイルでも、MP3ファイルのいずれでもよい。データCDと同様、いったんイメージを作成したうえで、メディアへの書き込みが行われる。現在のWindows XPベータ2に添付されているWindows Media Player 8.0は、外観(スキン)とユーザー・インターフェイスが最終仕様ではないため、CD-R/RWへの書き込みを[ポータブル デバイス]メニューから行うようになっているが、製品版ではもっと分かりやすいものになるハズだ。作成されるCDは、データCDと違い、クローズ処理されており、曲データの追加を行うことはできない。これは、音楽CDとの互換性を考えれば、納得できる仕様だ。

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音楽CDの書き込み画面(拡大画面:63Kbybtes
音楽CDの書き込みは、Windows Media Player 8.0の[ポータブル デバイス]メニューから行う。音楽CDを直接CD-R/RWへコピーすることはできず、いったんPC上でCD-R/RWに書き込むイメージが作成される。

Windows XPのCD-R/RWライティング機能は最低限のサポート

 以上、見てきたとおり、Windows XPのCD-R/RWライティング機能は、非常にシンプルかつベーシックなもので、機能的には市販のサードパーティ製ライティング・ソフトウェアの足元にも及ばない。多分、あえて競合しないような仕様にしているのだろう。CD-RWドライブ/メディアを用いても、CD-Rとの違いは、単にメディア単位での消去が可能になるだけだ。システム起動可能なCDを作成することもできなければ、パケットライトのサポートもない。また、CD-ROMや音楽CDを直接コピーすることもできない仕様になっている。

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CD-RWドライブの画面(拡大画面:32Kbytes
Windows XPはパケットライトをサポートしていないため、書き込みはCD-Rと同様、いったんCDイメージを作成してから書き込みが行われる。違いは、メディア単位でのファイル消去が可能になるだけだ。そのため、すでにファイルが書き込まれたメディアを開くと、[CD-RWのファイルを消去する]の項目が現れる。さらに、ここにファイルをドラック・アンド・ドロップすると、[タスク]が[CDに書き込む]と[ステージング領域を消去する]に変わる。

 こうした最低限とでもいうべきWindows XPの機能を物足りなく思うユーザーも少なくないだろう。すでにCD-R/RWドライブを所有するユーザーがライティング・ソフトウェアを持っていないとは思えないし、新規購入の場合もほとんどの場合はCD-R/RWドライブにライティング・ソフトウェアがバンドルされているはずだ。これは、CD-R/RWドライブにバンドルされるサードパーティ製ライティング・ソフトウェアの価格が、決して高価ではないこともその要因として挙げられる。特にコンシューマの場合、Windows XPのCD-R/RWライティング機能を利用する機会は多くないかもしれない。Windows XPの中でシームレスにCD-R/RWへの書き込みが行える、というメリットはあるが、やはりライティング・ソフトウェアは必須だろう。

Windows XPのライティング機能はMt. Rainierへの橋渡しか?

 しかし、この機能的には取るに足らないWindows XPのCD-R/RWライティング機能も、決して無意味ではないと思う。OSが標準機能としてCD-R/RWライティング機能をサポートすることで、標準的なAPIが確立する。これにより、そのほかのソフトウェアがCD-R/RWへの書き込みをサポートしやすくなる。

 もちろん理想的なのは、CD-R/RWメディアの特性を意識することなく、例えばフロッピーディスクなどと同じ感覚で扱えることだ。これを実現するため、現在Microsoft、Philips Electronics、Compaq Computer、ソニーの4社が先導する形で、Mt. Rainier(マウント・レイニア)仕様と呼ばれるCD-RWドライブ規格の標準化が進められている(Mt. Rainierのホームページ)。「CD-MRW」とも呼ばれるMt. Rainier仕様のドライブでは、

  • デフェクト*1管理がドライブのハードウェアで行われる
  • 論理アドレス単位が2Kbytesになる(現行は64Kbytes)
  • コマンド・セットがMMC-2/3(CD-R/RWが使用する標準コマンド・セット)に統一される

といった改良が行われる。書き込みは、UDFに準拠したパケットライトを想定しているが、未フォーマットのメディアに対しても書き込み可能なフォーマットをサポートしているため、現行のCD-RWのように、事前にメディアをフォーマットする必要がない。つまり、お店から買ってきたばかりのメディアをドライブに入れて、すぐにファイルをドラッグ・アンド・ドロップですぐに書き込みが行えるわけだ。Windows XPのやや中途半端(機能的に不十分)なCD-R/RWサポートは、将来のOSでCD-MRWをサポートするまでの「つなぎ」という意味合いもあるのだろう。

*1 ディスク上の欠陥などでデータが正しく書き込めない記録領域のこと。デフェクトが生じた際、あらかじめ用意されている代替領域をその代わりとして使えるように処理することをデフェクト管理と呼ぶ。

  関連リンク 
Adaptecからのスピンオフに関するニュースリリース
Mt. Rainierのホワイト・ペーパー
Windows XPの製品情報ページ
 

 INDEX
  Windows 2000 Insider/PC Insider合同特別企画
    Windows XPの正体
  次世代に向けたCD-R/RWの書き込み機能のサポート
    セーフモードが高解像度対応になるWindows XP
    文字表示を滑らかにする新技術「ClearType」
    Windows XPで正式サポートされたDVD-RAM
    大幅に改善されたWindows XPのIDEサポート
    Windows XPのドライバ・インストールに関する安全機能
    高速化されたスタンバイ状態と休止状態
   
 
 
Windows XPの正体


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