最新チップセットの機能と性能を探る

2. Intel 815/815Eのグラフィックス機能

 

デジタルアドバンテージ 島田広道
2000/10/06

 最近のデスクトップPC向けチップセットは、グラフィックス機能を内蔵することが多いが、それはIntel 815/815Eチップセットも同じである。従来と異なるのは、AGPグラフィックス・カードによるグラフィックス機能のアップグレードができる、という点だ。ここでは、Intel 815/815Eのグラフィックスに注目して、その機能や性能を確かめてみよう。

内蔵グラフィックスとAGPインターフェイスを装備

  Intel 815/815Eチップセットの内蔵グラフィックス機能は、Intel 810チップセットが内蔵しているグラフィックス機能をベースに、若干の性能向上を図ったものだ(ハードウェアとしてはほとんど同じもの)。1999年に登場したIntel 810チップセットは、グラフィックス機能を内蔵したIntel初のチップセットで、現在では低価格PCにCeleronとセットでよく採用されている。Intel 810チップセットの内蔵グラフィックスは、2Dグラフィックスはもちろん、ゲームや3D CGなどのソフトウェアで利用される3Dグラフィックスのアクセラレーション機能もあわせて実装している。Intel 815/815Eチップセットで強化されたグラフィックス機能は、この3Dグラフィックス関連である(この効果については、次ページで実際に確かめる)。

AGPスロットの例

最近、グラフィックス・カードといえば、AGP対応のものがほとんど。Intel 810チップセットではAGPスロットが実装できないため、数少ないPCI対応製品から選ぶしかなかった。

 Intel 810チップセットを搭載したPCが登場し始めたころ、デメリットとしてよく取り上げられたのが、AGPスロットを装備できないということだった。つまり、ユーザーが内蔵グラフィックスの性能や機能に不満を感じても、AGPグラフィックス・カードでアップグレードすることができないのだ。Intel 810のグラフィックス機能は、ビジネス・アプリケーション用途であればそれほど不満に感じるものではないが、3Dゲームなどを楽しむといった用途では十分な性能を持っているとはいえなかった。特に、ここ数年のグラフィックス機能の性能向上は著しいため、用途によってはグラフィックス機能の強化が行えない点が致命的であると感じるユーザーも多かったようだ。もちろん、PCIグラフィックス・カードなら装着できるが、遅いPCIインターフェイスを採用するグラフィックス・カードはもやは主流から外れており、製品の選択肢が強く制限されるなどの問題がある。

 こうした不満を解消したのがIntel 815/815Eチップセットの大きな特徴である。内蔵グラフィックスとともに、AGPインターフェイスも装備し、PCベンダやユーザーが用途に応じてグラフィックス・カードによる拡張を行えるようにした。このAGPインターフェイスは最新のAGP 2.0規格に対応しているため、AGP 4x*1による約1Gbytes/sの転送レートもサポートしている。仕様面では、内蔵グラフィックスを持たないほかのチップセットと比べても、Intel 815/815EチップセットのAGPインターフェイスに遜色はない。

*1 AGP 4xとは、AGPの登場当時に1倍速として決められた264Mbytes/sという転送レートに対し、4倍の1056Mbytes/sを実現しているAGPの転送方式の一種。

デュアル・ディスプレイは可能か?

Matrox社のMillennium G400 Dual Head

単一のグラフィックス・カードでデュアル・ディスプレイを実現できる数少ない製品の1つである。

 ところで、Intel 815/815Eチップセットを搭載したPCにAGPグラフィックス・カードを装着した場合、2つのグラフィックス回路がPCに内蔵されることになる。となれば、単純に考えると、「デュアル・ディスプレイ」が実現できそうな気がするのは、筆者だけではあるまい。デュアル・ディスプレイとは、2台のディスプレイにわたって1枚の画面を表示する機能である(マルチ・ディスプレイの一種と言える)。たとえば、各ディスプレイが1024×768ドットを表示できるなら、デュアル・ディスプレイにより、合計では2048×768ドットの画面を同時に表示できることになる。デュアル・ディスプレイを使うと、たとえばデザインやCADといった用途では、片側のディスプレイにツール・パレットを置き、もう片側をフルに設計や制作に使うことが可能になる。Windows 2000Windows 98Meは標準でデュアル・ディスプレイをサポートしているので、後は2つのグラフィックス・デバイスをPCに組み込めば、容易に画面サイズを広げることができる*2。またMatrox社のMillennium G400 Dual Headというグラフィックス・カード(上の写真)のように、単一のグラフィックス・カードに2つのディスプレイ・コネクタを装備し、1枚でデュアル・ディスプレイを実現できる製品もある。下の写真は、デュアル・ディスプレイ対応のグラフィックス・アクセラレータを装備したノートPCでの表示例だ。

*2 グラフィックス・カードとそのデバイス・ドライバがデュアル・ディスプレイに対応している必要がある。

デュアル・ディスプレイの表示例

デュアル・ディスプレイ対応のグラフィックス・カードに、2台の液晶ディスプレイを接続して表示しているところ。2つのディスプレイで1つの画面を表示しているのが分かる。

 そこで、Intel 815/815Eチップセットでも、内蔵グラフィックスとAGPグラフィックス・カードを併用して、デュアル・ディスプレイを実現できるか、いくつかのPCで試してみた。結果から言えば、どのPCでもデュアル・ディスプレイはできなかった。AGPグラフィックス・カードを装着すると、内蔵グラフィックスは自動的に無効になってしまうのだ。Windowsのデバイス・マネージャからも、完全に消えてしまう(下の画面)。

デバイス・マネージャでグラフィックス回路を確認したところ

上は内蔵グラフィックスを使用、下はAGPグラフィックス・カードを使用しているところ。下の画面では、内蔵グラフィックスのデバイスが見当たらないことが分かる。

 Intelが提供しているIntel 815/815Eチップセットのデータシートを見るかぎり、これはチップセットの仕様のようだ。デュアル・ディスプレイを実現するには、ほかのチップセットを搭載したPCと同様、2枚のグラフィックス・カードを用意するか、同時に2台のディスプレイをコントロールできるグラフィックスカードを用意する必要がある。ちなみに、Intel 815/815Eチップセット搭載PCのBIOSセットアップでは、内蔵グラフィックスを有効/無効に設定するメニューが存在することがある。しかし、いくつかのPCで試したかぎりでは、この設定を変えてもまったく影響はなかった(つまりBIOSセットアップで内蔵グラフィックスを強制的に「有効」にし、さらにAGPグラフィックス・カードを追加しても、デュアル・ディスプレイにはならなかった)。内蔵グラフィックスとAGPグラフィックス・カードは二者択一であることは覚えておきたい。

 次のページでは、内蔵グラフィックスのオプションであるディスプレイ・キャッシュやその性能などを調べる。

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 INDEX
  [実験]最新チップセットの機能と性能を探る
    1. Intel 815/815Eチップセットの概要
  2. Intel 815/815Eのグラフィックス機能
    3. 内蔵グラフィックスの性能を探る
    4. Intel 815/815Eで使えるメモリの種類
    5. メイン・メモリ アクセス性能
    6. 増えたUSBポートの活用方法
    7. 注意すべきそのほかのポイント
    8. 実験時のテスト環境について
 
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