XML関連仕様の動向を毎月お届け!
W3C/XML Watch - 11月版

XML 1.1が勧告候補、特許問題はついに決着か

加山恵美
2002/11/22

XMLマスター取得者が2000人を突破

XMLマスターDayで行われたパネルディスカッションの様子
左から、モデレーター:アットマーク・アイティ取締役編集局長 新野淳一、パネラー:XMLコンソーシアムWebサービス推進委員会委員長 岡部惠造、株式会社ピーデー代表取締役 (日本XMLユーザーグループ代表)川俣晶、富士通株式会社ソフトウェア事業本部 プロジェクトA-XMLプロジェクト長 弘末清悟、XML技術者育成推進委員会顧問 村田真(敬称略)

  今月は国内で行われたXMLのイベントの報告から始めましょう。10月10日に、XMLのベンダ非依存資格である「XMLマスター:ベーシック」の合格者が2000人に達したことを記念して、「XMLマスターDay」が渋谷にて開催されました。会場には、多くのXMLマスター資格者などが来場しました。

 当日は、11月より開始されるXMLマスターの上級資格「XMLマスター:プロフェッショナル」の紹介や、XMLマスターを受験するエンジニアの動向についての講演、そして日本のXML業界のけん引役となる有名人たちが顔をそろえたパネルディスカッションも開催されました。普段からXML関連で活発に活動するパネリストが集まったせいか、熱いディスカッションとなり、ふとXML最新情報がこぼれたり、エンジニアへの叱咤激励があったり、今後のXMLの技術発展をみんなで力を合わせて盛り上げていこうという熱意が伝わってきました。

 最後の表彰式では、XMLマスター:ベーシックの取得者第1号としてNRIラーニングネットワークの内藤一彦氏、同じく第2000号として、NTTデータの志田和則氏が表彰されました。さらにXML技術者普及に貢献した企業として(株)日立システムアンドサービスと富士通グループにも表彰状が贈られました。幸運にも第2000号となった志田氏は、「普段から『運がない』といわれているのですが、これで使い切ってしまったかと心配です」と周囲の笑いを誘っていました。志田氏は週末を中心に、独学で努力したそうです。そんな苦労が実って本当によかったですね。

Office 11がXMLとの連携を強化するツール

 XML関連の話題では、Microsoft Officeの次期バージョン「Office 11」で、XMLとの連携強化がさらに促進される製品が追加されるようです。現時点ではまだ開発コード名「XDocs」と呼ばれるものです。この製品はデスクトップ製品と基幹データソースを連携し、電子フォームから表形式文書などを作成するためのツール。XDocsはまだ評価版もこれからですが、出荷は来年半ばを予定しているとのこと。マイクロソフト製品群では主要なデータ形式は確実にXMLへと移行しているようです。

 では、10月のW3Cからの情報をチェックしていきましょう。

10月の勧告、勧告案、勧告候補

 10月は勧告がなし、勧告案と勧告候補が1つずつ発表になりました。勧告案となったのはUser Agent Accessibility Guidelines 1.0です。

 勧告候補となったのはXML 1.1です。いよいよドラフトから脱却して勧告化へ大きな一歩を踏み出しました。このXML 1.1 ではUnicodeや制御コードに関して対応を広げています。内容には賛否両論あるようですが、特にIBMのメインフレームを使っている環境には有利な拡張となっています。この技術文書は各所への調整も含め、来年2月中旬までという長めの勧告候補フェイズとなっています。

10月のドラフト

 10月に発表になったドラフトは12本です。アクセシビリティに加えてCSS 3(Cascading Style Sheets)やDOM 3が目立ちますが、広範囲な分野から発表になっています。発表順は前後しますが、関連している分野ごとに見ていきましょう。

 まず、10月初めにはXMLアクセシビリティガイドラインが発表になりました。またアクセシビリティに関連して、ユーザーエージェントのアクセシビリティガイドラインのテクニックも発表になっています。

 また勧告候補のXML 1.1が発表になった日には、音声ブラウザ呼び出し制御:CCXML 1.0と、Webサービス要求仕様のドラフトも発表になりました。

 DOM 3では検証とコアの仕様が発表になりました。検証にはラストコールが設定されています。

 CSS 3はルビ、テキスト、ボックスモデルが同日に発表になりました。こちらもルビとテキストにラストコールが設定されています。

 月末にはデバイス非依存と、Webサービス記述要件が発表になりました。後者はラストコールが今年いっぱいとなっています。

ノート

 10月に発表になったノートは以下の1本です。

進展を見せる特許問題

 最近の動きでは、SOAP 1.2やVoiceXMLでロイヤリティや知的財産権の問題がくすぶっているようです。SOAPについては、webMethods社とEpicentric社(Vignette社に吸収)が、SOAP 1.2に含まれる技術の特許を申し立てたことが特許問題を再燃させることになりました。しかし、Epicentric社は11月の初めに態度を軟化させ、特許に関する主張を取り下げました。現在SOAP 1.2関連文書は大半がドラフトであり、ラストコールを過ぎたのにこう着状態が続いていたところなので、今回のEpicentric社の方針転換でSOAP 1.2は最終段階へまた大きく近付きました。

 そうした特許問題に関する水面下の綱引きを内心ハラハラしながら見守っていましたが、11月に入ってようやく動きがありました。11月14日付けで特許問題についてのドラフトの最新版「Patent Policy Working Group Royalty-Free Patent Policy」が発表になりました(関連記事:特許問題に揺れるW3C)。

 W3Cの仕様についてロイヤリティフリーを明確に打ち出した内容で、ラストコールが付いています。いよいよ特許問題も勧告候補へリーチがかかりました。この問題については今年1年、進展を辛抱強く待ち続けましたが、確実に前進しているようなので来年こそはよい決着のニュースを聞きたいですね。

XML Japan 開催

 11月28日から3日間、青山テピアでは、W3Cが後援となっている「2002 XML JAPAN」が開催されます。主催はXMLジャパン企画・実行委員会/ネットラーニングです。最終日はXML開発者の日となっており、XML関連のさまざまな発表が行われます。来月はこのイベントもレポートする予定です。

 つい先日、年賀状ソフトを購入しました。もちろん、ContactXMLに対応しています。いままでの住所録からデータを移動して使おうと思います。ではまた来月お会いしましょう。


バックナンバー

2001年
 ・ 7月版 「XMLBase、XML Linkが勧告に」
 ・ 8月版 「リファレンスブラウザAmaya 5.1が登場したけれど」
 ・ 9月版 「MITが停電! そしてマルチメディア言語SMIL」
 ・ 10月版 「XMLの改定仕様はブルーベリー」
 ・ 11月版 「W3C Dayが待ち遠しい」
 ・ 12月版 「慶應大学で次世代Webに触れる」
2002年
 ・ 1月版 「XML 1.1、XSLT 2.0のドラフトついに登場!」
 ・ 2月版 「Webサービスアクティビティが発足」
 ・ 3月版 「XMLが4歳の誕生日を迎えました」
 ・ 4月版 「XMLを作った人たちが殿堂入りの栄誉!」
 ・ 5月版 「P3Pが勧告、そして怒とうの文書公開」
 ・ 6月版 「XML文書の正規化新仕様と、W3Cインタロップツアー」
 ・ 7月版 「SOAP 1.2のドラフトが発表」
 ・ 8月版 「4つのXPointerのドラフト、WSDL 1.2も登場」
 ・ 9月版 「ロゼッタネットとUCCが合併、XMLマスターに上級資格」
 ・ 10月版 「具体的な技術論へ移るセマンティックWeb」
 ・ 11月版 「XML 1.1が勧告候補、特許問題はついに決着か」
 ・ 12月版 「DOM2関連がもうすぐ完結、Webアーキテクチャも登場」
2003年
 ・ 1月版 「この1年でW3C勧告になったのは7つの仕様」
 ・ 2月版 「Webサービスの『振り付けグループ』が発足」
 ・ 3月版 「旅行業界がXML化へ、MSからは『InfoPath』が登場」
 ・ 4月版 「混迷の続くXPointerはついに落着?」
 ・ 5月版 「Webサービスの実験成功。WS-Iからは互換性ツール」
 ・ 6月版 「あいまいな部分を排除したSOAP 1.2、PNGはISO標準へ」
 ・ 7月版 「MITのW3Cオフィスはもうすぐ引っ越し、国連がebXMLを承認」
 ・ 8月版 「Webサービスが日本のAmazonからも利用可能に」
 ・ 9月版 「IEの特許侵害判決でW3Cが緊急会合」
 ・ 10月版 「IEの特許侵害判決がWebに与える影響は?」
 ・ 11月版 「IE特許問題で、W3Cが米国特許庁へ再審査を請求」
 ・ 12月版 「OfficeのXMLスキーマ公開、XML 1.1は勧告間近」
2004年
 ・ 1月版 「セマンティックWebに向けた動きが活発に」
 ・ 2月版 「日本人による標準技術発信が進むOASIS」
 ・ 3月版 「ついにXML 1.1が勧告へ、影響を受けるのは?」
 ・ 4月版 「XML Schema、3年ぶりの改訂が迫る」
 ・ 5月版 「Webサービス・セキュリティ v1.0、待望のOASIS標準に」
 ・ 6月版 「TravelXMLのWebサービス実証実験デモが成功」
 ・ 8月版 「SOAPメッセージ最適化をめぐる仕様が活発化」
 ・ 10月版 「W3Cの設立10周年を祝う記念祝賀イベント開催」
 ・ 12月版 「年の瀬に、WebとW3Cの功績に思いを馳せる」
2005年
 ・ 2月版 「XMLマスター資格試験が6月にリニューアル」
 ・ 4月版 「WS-Security 2004の日本語訳をXMLコンソーシアムが公開」
 ・ 6月版 「“愛・地球博”でビュンビュンWebサービス」
 ・ 8月版 「XMLキー管理仕様(XKMS 2.0)が勧告に昇格」
 ・ 10月版 「QAフレームワーク:仕様ガイドラインが勧告に昇格」

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