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» 2008年03月06日 00時00分 公開

いまさら聞けない、日本の“帳票”入門(前編):誰もが1度は見たことがある「帳票」のはじめて物語 (2/2)

[吉田育代,@IT]
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コンピュータの出現で帳票の在り方が激変するが……

 その“発明”とは、「コンピュータ」です。

コンピュータは帳票にぴったりの新兵器

 この機械は電気信号を高速に処理し、多様な計算を実行することができる装置です。得意なことは、記録、計算、繰り返し、検索。まさに帳票を作成するのにはぴったりの新兵器でした。

 必要なデータはすでにコンピュータの中にそろっています。例えば「納品書」なら、顧客が購入した商品の品名や数量、その価格、また顧客の住所・社名や自社の住所・社名といったものが必要ですが、コンピュータに命じて、それらのデータを帳票フォーマット上に流し込めば帳票の完成です。

図3 「納品書」の例(Microsoft Excelのテンプレート) 図3 「納品書」の例(Microsoft Excelのテンプレート)

 記載すべき商品が膨大な量に上っても、コンピュータは飽きることなく休むことなく、延々とやってくれます。そして、その計算能力を最大限に発揮してスピーディーに処理してくれます。

 この機械は紙への出力も可能だったので、というより初期のコンピュータは紙に打ち出すことで計算結果を伝えるようにできていたので、業務の効率向上を考える意味でも、帳票作成が手書きからコンピュータへシフトするのは、ごく自然な成り行きでした。

 しかしながら、コンピュータを使った帳票作成は、黎明期においては一筋縄ではいきませんでした。

初期コンピュータ“帳票”の数々の問題点

 なにせすべての命令コンピュータの分かる言葉で出さなければなりません。

 帳票作成を担当するプログラマーは「この位置に“けい線”を作成しなさい」「この位置に○○という顧客の住所と氏名をファイル(あるいは、データベース)から取ってきて入れなさい」「この位置に3月に顧客が購入した商品の明細を検索してすべて記載し、その合計額を計算しなさい」などといった具合に、命令の塊をプログラムとして記述します。それらが過不足なくそろったところで初めて、1枚の帳票が完成するといった具合でした。それをプログラマーは、帳票を利用する担当者の求める種類だけ作らなければならないのです。

 しかも帳票を利用する担当者は、いままで紙の帳票に慣れていましたから、コンピュータでの作成にシフトしても紙の帳票イメージをそのまま再現することを求める“きらい”がありました。

図4 初期コンピュータ“帳票”の数々の問題点 図4 初期コンピュータ“帳票”の数々の問題点

 例えば、“けい線”の太さが微妙に違っていたり、角に丸みが付いていなかったり、文字や数字の印字位置がずれていたりすると、修正を要求しました。プログラマーはそのたびにプログラムで要求をどう実現するかに頭を悩ませました。

帳票作成はプロジェクト終盤になりがち……

 さらに、帳票は商取引に必須のものなので、何か新しくシステム開発が行われると、必ず帳票作成のニーズも発生します。しかし、システムがほぼ完成した段階でないと、帳票作成のプログラムは作れません。

 システムがほぼ完成した段階というのは、大抵は本番稼働が迫っており、プログラマーは目前に迫ったXデーをにらみながら、夜も昼もないプログラミング作業に追われることになるのです。

そして、変わり続ける帳票の“ニーズ”

 無事にシステムが本番稼働を果たしても、帳票を作成するプログラマーはなかなか解放されません。

 というのも、帳票のニーズというのは時々刻々と変わっていくからです。また、帳票を利用する担当者の“思惑”に左右されることもあります。そのたびにプログラマーは、新しいニーズを満たすプログラムを書くことを余儀なくされるのでした。

プログラマーの救世主が登場

 こうしたプログラマーの置かれた苦しい状況をなんとか解決できないかと登場したのが、いわゆる「帳票設計/開発ツール」と呼ばれるソフトウェアです。

 これは、一言でいえば、できるだけプログラミングを行わないで、帳票を簡単に効率よく作成することを支援するものです。人間は人間の言葉でソフトウェアに接すれば、ソフトウェアがプログラマーの代わりに裏でコンピュータに命令を出して、帳票作成を実行します。

 次回後編は、この帳票設計・開発ツールが具体的にどのようなことを行ってくれて、プログラマーはどんなメリットを享受できるのかを詳しく見ていきたいと思います。

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